アルゼンチンの牛肉とはどんな肉?アルゼンチン牛を使った美味しいレシピもご紹介

アルゼンチンと聞いて思い浮かべることはなんでしょうか?

実はアルゼンチンは牛肉の生産大国で『世界で一番牛肉が美味しい国』とまで言われています。

日本とも関わりが深いアルゼンチン牛肉についてご紹介します。

アルゼンチン牛肉について

アルゼンチンとは?

そもそもアルゼンチンとはどこにある国でしょうか?アルゼンチンは日本から見て地球の真裏にある国で、その時差は12時間です。

遠距離ではありますが、日本とは1898年から有効な外交関係を築いている国になります。水色のストライプの真ん中に「五月の太陽」と呼ばれる独特な太陽のシンボルがある国旗が印象的で、これはスペインから独立した際の自由のシンボルと言われています。

首都はブエノス・アイレスで、国の面積は日本のおよそ7.5倍である約278万400キロ平方メートル。人口は日本よりも少なく、2019年の時点で4494万人です。

ちなみにアルゼンチンで飼育されている牛の数は約5700万頭とも言われており、人より牛の方が多い計算になります。そんなアルゼンチンの特産品といえば、牛肉とワイン。

週末は家族でアサードと呼ばれるバーベキューを囲んでワインを飲みながら過ごすのが定番です。

アルゼンチンと世界の関わり

牛肉の肥育というと、やはりホルモン剤を用いて牛を大きく美味しく、を想像してしまいますが、アルゼンチンの牛肉は違います。アルゼンチンではパンパと呼ばれる大草原で牛を放し飼いにしており、食べているものはほとんどが天然の草のみ。

発がん性が疑われる成長ホルモン剤は一切使用せず、輸入の際に厳しくチェックをしているEUに、アルゼンチンはこの30年間ずっと牛肉を輸出し続けています。

また、一度は口蹄疫という牛の病気が世界的に流行したことから輸出入がストップしていましたが、2018年にはパタゴニアと呼ばれるアルゼンチン下部の地域の牛肉は安全だと判断され、日本への輸出も解禁されました。最近では丸紅株式会社がアルゼンチン産の牛肉の輸入を開始。翌年の2019年には大手の小売店初のイトーヨーカドーでも『アルゼンチンフェア』の中で販売開始されています。

新宿にもアルゼンチンビーフを食べることができる店もでき、アルゼンチン牛肉は日本でも徐々に盛り上がりをみせています。

アルゼンチンの牛肉の消費量と食べ方

アルゼンチンは牛肉の生産大国ですが、他国への輸出量は、 牛肉の総生産量のわずか11%とかなり少ない数字となっています。これは生産された牛肉のほとんどが、 国内市場で消費されているからであり、アルゼンチンは『世界トップクラスに牛肉を食べる国』とも言われています。

国民1人当たりの年間牛肉の消費量は58.5キログラムで、単純計算でアルゼンチンの国民は1日当たり1人160グラムの牛肉を食べている事になります。日本と比較すると、日本人の年間牛肉消費量は6.5キログラムなので、およそ9倍。

牛肉大国であることがよくわかります。1人1日あたりのカロリー摂取量や肉類摂取量は南米一とも言われているアルゼンチン。

また、アルゼンチンでは若い牛であればあるほど柔らかいという概念があるそうで、他国への輸出の際は460キログラム程まで肥育されるのに対して、国内での消費分の牛は360キログラム程までで出荷されます。そんな柔らかく若いアルゼンチン牛の食べ方としては、国民食ともいえる伝統料理『アサード』が有名です。

アサードとはアルゼンチン風炭火焼き(バーベキュー)で、牛肉の塊をパリージャと呼ばれる金網の上で焼き上げ、岩塩をつけて食べるシンプルな肉料理。弱火でブロック肉を燻すようにじっくりと焼くアサードは、肉汁たっぷりでアルゼンチン牛肉のうまみが濃縮されており、いくらでも食べられてしまいます。

アルゼンチンの人々はほとんどの方が、毎週末アサードパーティーを開いており、家族や友達と焼きあがるまでの1時間〜2時間をのんびりと過ごしています。アルゼンチンの方にとって牛肉は、人と人をつないできた大切な文化でもあるようです。

アルゼンチン牛肉と他の国の牛肉の違い

大変人気なアルゼンチン牛肉ですが、他の牛肉との違いは一体なんなのでしょうか?牛肉といえばアメリカやオーストラリアを思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はアルゼンチンは世界第6位を誇る牛肉生産国。

アルゼンチンで飼育されている牛のほとんどが『アンガス種』および『ヘレフォード種』またはその交雑種です。温かい亜熱帯もしくは温帯に属しているアルゼンチンの気候は、肥沃かつ広大な栄養価が高い牧草地を確保することができ、放牧によって肉牛を繁殖・肥育するのに絶好の条件が整っています。

そんなアルゼンチンの肉牛たちは大気汚染とは無縁の自然環境で、パンパと呼ばれる600キロに広がっている草原地帯で育ちます。関東平野の約60倍もあり、ビリヤード台に例えられる程の平坦な草原であるパンパで育つ牛たちは、牧草を食べて育つ『グラスフェッドビーフ』と呼ばれます。

対極にいるのが米国などの『グレインフェッドビーフ』。人工的に穀物を食べさせて、運動を制限することで短期間で大きく牛を育てる事ができ、脂身の多いお肉、いわゆる霜降りの牛肉にすることができます。

そんなグレインフェッドビーフとは違い、牧草を食べて育つグラスフェッドビーフであるアルゼンチンの牛肉は、脂身が少なく美味しい赤身のコク深い味わいが特徴です。お肉本来の味と香りを楽しむ事ができる牛肉は、沢山食べても脂が少ないため、胃がもたれずらく、いくらでも食べる事が出来るほどです。

また、赤身と聞くと固さを懸念してしまいますが、アルゼンチン牛肉はその柔らかさも一つの特徴です。肉汁が赤身に包まれているとも表現されるほどのジューシーさがあり、ソースなどをつけなくても塩と胡椒で食べるのが一番美味しいといいます。

さらにグラスフェッドの牛肉は穀物を食べて育つグレインフェッドビーフと比べて、人間の体内では作れない不飽和脂肪酸のオメガ3脂肪酸や牧草由来のβ-カロテンが多く、脂肪燃焼を助けるといわれる共役リノール酸などが多く含まれます。グラスフェッドビーフの方が筋肉脂肪の割合が低いことなども既に証明されており、特に心血管疾患の因子を持った消費者の方には、 グラスフェッド牛肉の方が健康的でオススメかもしれません。

アルゼンチン牛肉を使ったおいしいレシピ

美味しいアルゼンチン牛肉、ステーキにするもよし、焼肉で食べるもよしですが、せっかく食べるのであれば、本場の食べ方が実は一番美味しい食べ方だったりします。今回は本場アルゼンチンの牛肉料理のレシピをご紹介します。

是非お家でも美味しい牛肉料理を作ってみてください。

マタンブレ(詰め物入り牛肉ロール)

https://ahp-recipe.jp/sheet.php?recipe=224

材料

  • 牛薄切り肉・・500g
  • 塩、こしょう、小麦粉・・各適量

【A】

  • 塩、こしょう・・各少々
  • オレガノ(ドライ)・・小さじ2
  • クミン(パウダー)・小さじ2
  • パプリカ(パウダー)・・小さじ2
  • にんにく(みじん切り)・・1かけ分
  • パセリ(みじん切り)・・大さじ3
  • にんじん・・1/3本
  • いんげん・・4~6本
  • ゆで卵・・2個
  • チミチュリ※・・適宜

作り方

  1. にんじんはせん切りにする。いんげんは筋をとる。ゆで卵は、両端を7~8mm落として縦半分に切る。
  2. 「サランラップ®」を35cmくらいの長さに切って縦長に置き、塩、こしょうをふる。その上に牛肉を、縦26~27cm、幅16~17cmくらいに広げる。塩、こしょう、小麦粉をふりながら、3重くらいに肉を重ねる。
  3.  2にAを順にまぶし、手前を6cmほどあけていんげん、ゆで卵、にんじんを並べる。「サランラップ®」ごと持って具に手前の肉をかぶせるようにし、これを芯にしてそのまま巻く
  4. 「サランラップ®」を除き、大きめに切った「クックパー®クッキングシート」に巻き終わりを下にしてのせ、「クッキングシート」できっちりと包み、両端をひねって形を整える。
  5. 牛肉の上に材料を置く。4を耐熱容器にのせ、電子レンジ(500W)で約10分、肉に火が通るまで加熱。そのままあら熱をとり、形が落ち着くまでおく。
  6. 6~8等分くらいに切り分け、器に盛りつけ、チミチュリ(アルゼンチンの家庭調味料)を添える。

『マタンブレ』というのは牛の脇腹肉のことで、本場アルゼンチンでは肉を一枚豪快に使って巻く料理。

切った断面が綺麗でご馳走にもピッタリですね。

カルボナーダ(南米風シチュー)

https://www.sbfoods.co.jp/recipe/detail/06515.html

材料

  • 牛肉 75g
  • 玉ねぎ 1/4個
  • にんじん 1/6本
  • じゃがいも 1/2個
  • さつまいも 1/6本
  • かぼちゃ 50g
  • コーン 大さじ1
  • 白米 大さじ1
  • バター 10g
  • S&Bおろしにんにく 小さじ1/2
  • トマトの水煮缶(ホール) 50g
  • 水 300ml
  • コンソメ(固形) 1/2個
  • S&Bオレガノ 小さじ1/2
  • 塩 少々
  • S&Bコショー 少々

作り方

  1. 牛肉は2cm角、その他の野菜は1cm角に切ります。
  2. 鍋にバターとにんにくを入れて熱し、牛肉を炒めます。
  3. 玉ねぎを加えて透き通るまで炒め、ホールトマトをつぶしながら加えます。水、コンソメ、オレガノを加えて煮込みます。
  4. にんじん、米を加えてやわらかくなるまで煮込んだら、じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、コーンを加えてさらに煮込みます。
  5. 塩、胡椒で味を調えます。

こちらはアルゼンチンの郷土料理で、野菜がたっぷり入ったシチューです。寒い冬に熱々を口にしたい一品。

栄養満点なので、風邪のひき始めにもいいかもしれません。

ミラネッサ(アルゼンチン牛カツ)

https://cookpad.com/recipe/5100717

材料

  • 牛肉ステーキ200g
  • キャノーラ油適量
  • たまご液
  • 卵2個
  • 牛乳小さじ1
  • おろしにんにく小さじ1/2
  • 塩小さじ1
  • オレガノ(乾燥)小さじ1
  • ころも
  • パン粉100g

作り方

  1. 余計な油を肉から切り取り、ミートハンマーもしくは包丁の裏側で肉を叩いて、薄くする。筋があれば、切り目を入れる。
  2. たまご、牛乳、おろしにんにく、塩、オレガノをボウルに入れて、混ぜる。
  3. たまご液に肉を入れて、ラップして、冷蔵庫に1時間寝かす。
  4. つけた肉をパン粉に満遍なくまぶす。
  5. 全体的にカバーできるように、軽く指で叩きながらまぶす。
  6. フライパンにキャノーラ/サラダ油を10cm程の高さでいれて、温めて、肉を揚げる。ミラネサ完成!

国民的ソウルフードである牛カツミラネサ。

もともとはイタリアの移民がミラノ風カツレツを持ち込んだものが由来と言われています。

外はカリっと中はジュワッとがたまりません。

エンパナーダ(アルゼンチンミートパイ)

https://ahp-recipe.jp/sheet.php?recipe=226

材料

  • 薄力粉・・200g
  • バター(食塩不使用)・・50g
  • 塩・・小さじ1/2
  • とき卵・・1個分
  • 冷水・・大さじ1~2
  • 牛ひき肉・・150g
  • 玉ねぎ(みじん切り)・・1/3個分
  • パプリカ(赤、あらみじん切り)・・1/5個分
  • オリーブ油・・小さじ2
  • ゆで卵・・1個
  • オリーブの実・・8個

【A】

  • 塩、こしょう・・各少々
  • クミン(パウダー)・・小さじ1/2
  • パプリカ(パウダー)・・小さじ1/2

【B】

  • とき卵(塗り卵用)・・小さじ2※
  • 水・・小さじ1/2

※生地用のとき卵から取り分ける

作り方

  1. バターは1cm角に切り、冷蔵室で冷やしておく。
  2. 生地を作る。ボウルにふるった薄力粉、塩、バターを入れ、カードでバターを小さく切るようにしながら、粉と合わせていく。
  3. 卵のうち、小さじ2を別に取り分け(塗り卵用)、残りを少しずつ加えてまとめる。まとまりにくければ冷水を様子を見ながら加える。太めの棒状に成形して「サランラップ®」で包み、冷蔵室で1時間ほど休ませる。
  4. バターがとけないように、カードで細かく刻みながら粉と合わせる。
  5. フライパンにオリーブ油を熱し、玉ねぎをしんなりするまで炒め、パプリカも加え、しんなりするまで炒める。肉も加えて炒め合わせ、Aで調味する。
  6. 5のあら熱がとれたら、粗く刻んだゆで卵とオリーブの実を加え混ぜ、サランラップで1/6量ずつ小分けにして包み、冷蔵室で40~50分冷やす。
  7. 6を6等分し、打ち粉(強力粉、分量外)をふった台の上で、1つずつ直径14cmくらいの円形にのばす。
  8. 7の生地に4の具をのせ、縁に水少々をつけてとじ合わせ、縁を少しずつ重ねるようにして折り込む。
  9. 半分に閉じ合わせ、縁を少しずつ重ねるようにして折り込む。
  10. オーブンの天板に「クックパー®クッキングシート」を敷き、7を並べ、合わせたBをはけで塗る。200℃に予熱した電気オーブンで20~25分(ガスオーブンの場合は190℃に予熱して同時間)焼く。

こちらはアルゼンチンの家庭料理で、薄いパン生地でジューシーな牛肉と玉ねぎを包んだもの。

パクパク食べれて一つまた一つと手がのびて止まらなくなります。中の具材はアレンジ自由なので、色々入れて楽しめそうです。

アルゼンチンの牛肉に関するまとめ

いかがでしたでしょうか?

牛肉大国アルゼンチン。魅惑のアルゼンチン牛肉は今はまだ日本ではなかなか見かけられないお肉ですが、スーパーマーケットなどで見かけた際は是非購入してみてください。

アルゼンチンワインと牛肉は最高のコンビネーションです。