但馬牛の焼肉とは

数ある和牛の中で、「但馬牛」という名前を聞いたことがあるかたもいるのではないでしょうか?本記事では焼肉で有名な但馬牛について、歴史や栄養素、おすすめの付け合わせや購入方法などを紹介します。

 

焼肉で有名な但馬牛とは?

但馬牛の特徴

 

但馬牛は、日本三大和牛の一つで、兵庫県の但馬地方で飼育されている黒毛和種の牛肉のことを指します。但馬牛は、赤身と霜降りのバランスが良く、肉質が柔らかく、濃厚な味わいが特徴です。また、脂肪がサラサラしていて、上品な風味があります。これらの特徴は、但馬牛を高級和牛の一つに位置づける要因となっています。

 

但馬牛の歴史

 

但馬牛は紀元前に朝鮮半島からの移民と共に、兵庫県の一部の但馬地方に渡ってきたとされ、また日本の黒毛和牛の起源ともいわれています。仏教が広まった飛鳥時代から平安時代までは肉食が主に禁じられていたため、運搬や耕作に役立てられてきましたが、室町時代から徐々に肉食の需要が高まり、明治時代には様々な品種改良がされました。元々日本にいた但馬牛を海外の牛と交配させることで大型化し、食用にしようという試みが行われましたが、肉質は向上しませんでした。国内のほとんどの牛が外国産の牛との交配牛になった中、兵庫県で4頭の純潔の但馬牛が見つかり、その中の「田尻号」と呼ばれる牛が残した多くの子孫がその後改良され、日本の黒毛和牛種の99%のルーツになり、また世界に誇る「神戸牛」や「松坂牛」、「近江牛」などが誕生したとされています。

 

※出典:Umashi(ウマシ)(https://umashi.jp/otoriyose/sbg/meat/wagyu/kansai/hyogo/tajima-beef/wagyu-beef-tajima-beef-history-roots/)

 

但馬牛の生まれた兵庫県美方町とは

兵庫県美方郡香美町(ひょうごけんみかたぐんかみちょう)は、兵庫県北部に位置する町です。面積は約190平方キロメートル、人口は約1万8千人(2021年現在)です。豊かな自然に恵まれた町で、山々や清流が広がっています。また、但馬地方の中でも特に豊かな食材が取れることでも知られており、但馬牛や山菜、清流で獲れる鮎などが有名です。

 

日本海側に位置する内陸部の町で、四季を通じて寒暖の差が激しい気候が特徴です。夏は暑く湿度が高く、冬は寒く乾燥した寒冷地気候に分類され、一日の中でも昼と夜で寒暖差の激しい地域です。年間を通じて降水量が多く、雪が積もることもあります。昼と夜の寒暖差で生じる朝露によって育った柔らかい牧草と、ミネラル分の多い水が豊富にあり、牛を育てるのにとても適した環境です。

 

※出典:平山牛舗(https://tajimagyu.jp/about_tajima-cattle/tajimagyu-himitsu/)

 

但馬牛の認定条件

平成27年に制定された地理的表示保護制度(GI)により、「但馬牛」として販売するには、特定の基準をクリアした「兵庫県産『但馬牛®』」のみが認められることになりました。

※地理的表示(GI)保護制度とは、農林水産省が設けた制度で、産地と品質、社会的評価、その他の確立した特性が結びついている産品について、その名称を知的財産として保護することを目的としています。

 

「兵庫県産(但馬牛®)」の条件は以下の通りです。

 

  • 素牛が「但馬牛うし」
  • 生まれ、育ちともに兵庫県
  • 本県内の食肉センターに出荷
  • 生後28か月齢以上から60ヶ月齢以下の雌牛・去勢牛
  • 歩留等級が「A」「B」2等級以上

 

※出典:平山牛舗(https://tajimagyu.jp/about_tajima-cattle/tajimagyu-himitsu/

 

焼肉で有名な但馬牛の肉質

肉質と特徴

 

但馬牛は、遺伝的な特質と飼育環境から、霜降りのサシが入りやすいという独自の特徴を持っています。柔らかな筋肉によって程よい脂肪が留まり、細かく繊細なサシが生まれます。サシは口に入ると溶け、周りの筋肉繊維も柔らかくほどけ、和牛特有の口当たりの良さを味わえます。また、肉に熱が加わると、サシと赤身の境界から和牛の独特な「和牛香」が生まれると言われています。但馬牛の深みのある味わいの理由の一つはこのサシです。

また但馬牛の味わいに深みを与えるもう一つの理由は、「モノ不飽和脂肪酸」が多いことです。脂には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2つがあります。不飽和脂肪酸は、低い温度で溶けやすいという性質を持っています。お肉のうまみは、アミノ酸やグルタミン酸、イノシン酸などの旨味成分と、口の中で感じる香りによって表現されると言われています。このため融点の低い「モノ不飽和脂肪酸」の含有量が多いほど、口いっぱいに風味が広がり、風味を味わうことができます。

 

※出典: ラジトピ ラジオ関西トピックス(https://jocr.jp/raditopi/2020/04/28/49600/)

 

人気部位とその特徴

 

モモ

モモは、赤身と霜降りのバランスが良く、肉質が柔らかいことが特徴です。脂肪の甘みと、赤身の旨味が絶妙なバランスを生み出し、焼いたときに口の中でとろけるような食感が楽しめます。

ロース

カルビは、脂身が多く、しっかりとした食感が特徴です。甘みがあるため、焼いたときに香ばしい香りとともに、ジューシーで濃厚な味わいが広がります。

ハラミ

ハラミは、赤身と霜降りのバランスが絶妙で、とても柔らかい部位です。脂身の甘味と、赤身の旨味がミックスされ、上品な味わいが楽しめます。

タン

タンは、脂身が少なく、赤身の筋肉質な部位です。独特の旨味があり、コリコリとした食感が楽しめます。

 

但馬牛の焼肉の栄養素

栄養素

たんぱく質

焼肉はたんぱく質の宝庫です。特に但馬牛の場合、肉質が柔らかく、旨味成分が豊富で食べ応えがあります。またたんぱく質は、筋肉や骨を作る成分として必要不可欠です。

ビタミンB群

但馬牛の焼肉には、ビタミンB群が豊富に含まれています。ビタミンB群はエネルギー代謝に欠かせない成分であり、健康な体を作るために必要不可欠です。

鉄分

但馬牛の焼肉には、鉄分が豊富に含まれています。鉄分は貧血の予防や免疫力アップに効果があり、また肉から摂取するヘム鉄は、植物由来の非ヘム鉄に比べて吸収率が高く、効率的に鉄分を摂取できます。

脂肪酸

但馬牛の脂肪には、不飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果があり、動脈硬化や心臓病の予防に役立ちます。また、但馬牛の脂肪には、オメガ3脂肪酸も含まれており、脳機能の向上や生活習慣病の予防に効果があります。

 

以上のように、但馬牛の焼肉には栄養素が豊富に含まれております。、健康効果も期待できます。ただし、脂肪分が多いため、摂取量には注意が必要です。

 

良質な焼肉用の但馬牛の購入方法

以下は、良質な焼肉用の但馬牛を購入するための方法です。

 

産地を確認する

但馬牛を販売するには、農林水産省が定めた厳しい基準をクリアする必要があります。複数ある条件の中で最も確認しやすいのが、産地です。生まれ育ちが兵庫県でなければ「但馬牛」として販売できないため、お肉の産地は必ず確認しましょう。

鮮度の良いものを選ぶ

肉は鮮度が命です。肉を選ぶ際には、生肉の色や輝き、肉の柔らかさを確認しましょう。また、肉のパッケージには「賞味期限」や「消費期限」が記載されていますので、注意して確認しましょう。

 

専門店で購入する

但馬牛を購入する際には、専門店で購入することがおすすめです。専門店には、但馬牛に精通したスタッフがおり、正しい保存方法や調理方法を教えてくれます。また、専門店では、ブランド肉の種類や部位に合わせた商品を販売しているため、自分が欲しい部位を選ぶことができます。

 

インターネットで購入する

最近では、インターネットで但馬牛を購入することもできます。但馬牛流通管理協議会公認のショップや、但馬牛専門店が運営するオンラインショップなどがあります。しかし、鮮度や品質については確認する必要があるため、信頼できるショップから購入するようにしましょう。(特にふるさと納税の特典を狙った業者が増えているようなので、実在する精肉店のオンラインショップが安心して購入できると思います)。

 

また本サイトの運営するコミュニティ「ヤキニクタベタイ」では、素人・専門家に関わらず、お肉好きの方が集まり、お肉を購入できるだけでなく、コミュニティ内で情報交換など交流も行うことができます。おいしいお肉を楽しみたい方、焼肉について知識を深めたい方はぜひ参加を検討してみてください。

 

但馬牛の焼肉の楽しみ方

焼肉の基本的な調理方法

但馬牛の焼肉は、新鮮な肉を使い、焼き加減に気を配ることが大切です。

  1. お肉を室温に戻しましょう。冷蔵庫から出した後に10分程度置いておくことで、焼いたときに内側が生焼けになるのを防ぐことができます。
  2. 肉を焼く前に、肉の表面にある余分な水分をキッチンペーパーで取り除きましょう。
  3. 焼肉用の網やグリル、フライパンを温めて、肉を焼きます。焼く時間は、肉の厚さや焼き方、部位や脂の寮によって変わるため、一概には言えません。しかし基本的には表面に香ばしく焼き色を付け、内側をお好みの焼き加減まで温めましょう。火が通ると硬くなりやすい部位は弱火でじっくりと焼くようにしましょう。またタレがついたお肉は焦げやすいため注意しましょう。その他細かい焼き加減は、お好みに合わせて調整してください。

 

飲み物

但馬牛の焼肉には、ビールや日本酒、ワインなどがよく合います。但馬牛は味わいが濃厚で脂身が多いため、重厚な赤ワインや、甘口の日本酒が特におすすめです。また、焼肉のタレや味付けによっては、酸味のある白ワインや辛口の日本酒も相性が良い場合があります。

 

タレ

基本の焼肉のタレのレシピ

 

【材料】

・醤油 8大さじ

・みりん 4大さじ

・砂糖 4大さじ

・にんにく 1かけ(すりおろしたもの)または1片(薄くスライスしたもの)

・生姜 1かけ(すりおろしたもの)

作り方

  1. 鍋に醤油、みりん、砂糖を入れて、弱火で煮詰める。
  2. 砂糖が溶けたら、にんにく、生姜を加えて、さらに煮詰める。
  3. 火を止めて、冷ます。

 

豆板醤ダレのレシピ

材料

・醤油 3大さじ

・みりん 1.5大さじ

・砂糖 1.5大さじ

・豆板醤 小さじ1

作り方

  1. 鍋に醤油、みりん、砂糖を入れて、弱火で煮詰める。
  2. 砂糖が溶けたら、豆板醤を加えて混ぜる。
  3. 火を止めて、冷ます。

 

但馬牛の焼肉のまとめ

 

但馬牛の焼肉は、たんぱく質やビタミンB群、鉄分、良質な脂肪酸など栄養素が豊富で、健康効果も期待できます。良質な但馬牛の焼肉を選ぶには、信頼できるブランドの肉を選んだり、鮮度の良いものを選んだり、専門店やインターネットで購入したりするなどの方法があります。焼肉を楽しむ際には、基本的な調理方法やおすすめの食べ物・飲み物を知って、ぜひご家庭でも但馬牛の焼肉を楽しんでください。

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