和牛の肉とは

和牛の肉について

和牛の定義

和牛には厳格な定義があり、「黒毛」・「褐毛」・「無角」・「日本短角種」の4品種のみに限定されている牛です。これらはすべて純血個体でなければならず、食用肉としての品種改良が重ねられていることから、国内はもちろん海外からの人気も高くなっています。

 

『国産牛』との違い

 国産牛はその名前の通り、「日本国内で生産された牛」のことです。国内で3ケ月を超える期間肥育されている牛や、これまでの飼育期間の内、国内で肥育されている期間が最も長い牛は、すべて国産牛となります。国産牛の判断は肥育場所と肥育期間のみですので、牛の品種や出生地などについては一切問いません。そのため、乳が出なくなった乳牛用の老いたホルスタインも、食用の国産牛となります。

和牛は、肥育期間などに関係なく、条件を満たした牛のみに与えられる品種名です。

 

和牛の種類

和牛の称号が与えられる「黒毛和牛」・「褐毛和牛」・「無角和牛」・「日本短角種」の4種類は、それぞれに特徴があります。

 

黒毛和牛

「神戸牛」や「宮崎牛」などのブランド牛として有名なのが、和牛の9割を占める黒毛和牛です。和牛の中で最も小柄で脂肪が多く、霜降り状の肉が特徴です。

 

褐毛和牛

「肥後牛」や「土佐和牛」などに代表される褐毛和牛です。赤みがかった色をしていることから「あかげ牛」と呼ばれることもあります。赤身が多い肉質が特徴で、ヘルシー志向の方に特に人気の品種です。

 

無角和牛

山口県萩市などで肥育されているのが無角和牛です。1ヶ月でわずか3頭〜4頭しか出荷されない、非常に希少な品種です。赤身が多く、こちらも健康趣向の方に人気の品種となっています。

 

日本短角種

北海道の他、青森・秋田・岩手などの寒い地域で肥育されています。手間がかからないことから放牧で飼育され、和牛の中で最も大きく育ちます。肉質はやや劣り赤身が多いという特徴があります。

 

※出典:ISSHO(http://issho.shop/column/utsubohonmachi-yakiniku-enkai.html)

 

輸入牛との違い

和牛の肉の特性は、その細かい肉質と柔らかさにあります。脂肪部分は淡いクリーム色をしており、全体的に脂肪が豊富で、肉全体に美しい霜降り状に広がっています。また脂肪の融点は、輸入された牛肉と比較して低めです。一方で、輸入牛肉は肉質が粗く、やや硬い特性を持つことが多く、脂肪部分は白くて堅く、赤身肉が主体で脂肪があまり混ざっていないことが特徴です。

 

 

和牛の肉のランクとは

肉のランク付けとは、等級をもとに肉をランクに分けて評価する制度です。肉質やサシの入り方などを基準に行われ、ランクに応じて価格や品質が変わってきます。ランク付けは産地やブランド、育て方、加工方法などによって異なります。ランク付けは、消費者が適切な価格で、高品質で安全な肉を選ぶための指標の一つとなっています。

 

認定基準

牛肉のランクはアルファベットのA〜Cからなる「歩留(ぶどまり)等級」と、1〜5で表される「肉質等級」の2種類を並べてA5やB3などと表記します。

「歩留」+「肉質」で評価を行うのは日本独自のやり方です。

「歩留等級」とは

「その牛の枝肉(※)から取れる、食用の牛肉の量」を評価したものです。Aが最も高く、「たくさんの食用の牛肉が取れる、生産性の高い牛」となります。

 

「肉質等級」とは

肉質等級とは、下記の4項目を総合的に評価したものです。

  • 脂肪交雑(サシの入り方)
  • 脂肪の色沢と質(脂身がきれいかどうか)
  • 肉の締まり及びきめ(お肉がしまっていてきめ細かいかどうか)
  • 牛肉の色沢(お肉の色がきれいかどうか)

 

 ※出典:「トクバイニュース」(https://tokubai.co.jp/news/articles/4249

 

有名なA5ランクの牛肉

A5ランクの肉には多くのブランドがありますが、中でも有名なブランドは以下の通りです。

 

  • 松阪牛 – 三重県松阪市で生産される黒毛和種の牛肉で、肉質が柔らかく、上品な味わいが特徴です。
  • 神戸牛 – 兵庫県神戸市で生産される黒毛和種の牛肉で、脂肪が豊富で、口当たりがよく、甘みのある味わいが特徴です。
  • 近江牛 – 滋賀県で生産される黒毛和種の牛肉で、肉質が柔らかく、脂肪が甘く、旨味が豊かな味わいが特徴です。
  • 但馬牛 – 兵庫県で生産される黒毛和種の牛肉で、肉質が柔らかく、脂肪が繊細で甘みのある味わいが特徴です。
  • 宮崎牛 – 宮崎県で生産される黒毛和種の牛肉で、霜降りが豊富で、口当たりが滑らかであるとともに、深みのある味わいが特徴です。

 

これらのブランド牛は、生産地や飼育方法、加工方法などによってそれぞれ異なる味わいを持っています。また「黒毛和牛」はサシが入りやすく、歩留まりが良い霜降り肉として「A5」や「A4」の評価を得やすい主ですが、その他の和牛は脂肪量が少なく「A3」や「A2」などの評価を受けやすい傾向にあります。

 

※出典:無角和牛(https://www.mukakuwagyu.jp/meet/deliciousness.html)

和牛の褐毛和種(あかげ)の肉とは

褐毛和種(あかげ)とは

 

「和牛」の在来種であるこの種類は、眼周囲や尾先の黒い毛色が独特の特徴となっています。和牛全体の生産量のわずか0.36%にしかならず、「幻の和牛」とも称されるほど珍しい種類です。現時点で日本全国で約24,500頭の飼育が行われています。

この和牛の主な産地は熊本県や高知県となっています。流通量が比較的少ないため、血統管理が容易で、それぞれの頭の丁寧な飼育に充分な時間が割けることが特徴です。

 

肉質・味わい

肉質には適度に脂肪が入り込んでおり、あっさりとした風味と歯切れのよい食感を味わうことができます。またうまみ成分やアミノ酸が黒毛和牛より多く、特有の甘みを感じることができると言われています。

 

※出典:和牛の贈り物(https://wagyugift.jp/column/meat/akaushi/)

 

和牛の無角和種の肉とは

無角和種とは

大正時代、山口県阿武郡で在来種とアバディーン・アンガス種を交配して誕生しました。

黒毛和牛と同じく黒い外見ですが、よりずんぐりとした体格が特徴です。

一時は黒毛和牛よりも高値で流通しましたが、昭和に入り、消費者の好みが霜降り肉へと移ったこと、また牛肉の輸入が自由化されたことで、需要が大きく下がりました。山口県内でも黒毛和牛の飼育へ切り替える農家が増える中、この希少な種を守ろうという農家のおかげで、現在も少数ながら流通しています。

 

肉質・味わい

霜降りの多い黒毛和牛に対し、サシが入りにくく水分の多い赤身が無角和種の特徴とされています。うまみ成分のアミノ酸が豊富で、ダイレクトに肉のコクと豊かな肉汁を味わうことができます。サシが入りにくく、現在の食肉格付けの基準では評価されづらいですが、ヘルシー志向の高まりもあり、徐々にその価値を再認識されつつあります。

 

※出典:無角和牛(https://www.mukakuwagyu.jp/meet/deliciousness.html)

 

和牛の日本短角種の肉とは

日本短角種とは

東北北部原産の肉用種で、岩手の旧南部藩時代に農業や鉄鉱山での作業、沿岸と内陸間の塩などの物資輸送に利用されていた南部牛という牛に、明治以降輸入されたショートホーン種やデイリー・ショートホーン種を交雑して改良を重ねた上に誕生したのが、この日本短角種です。現在は主に岩手・青森・秋田・北海道の一部などの寒冷な地域において主に飼育されています。

 

肉質・味わい

赤身が多く、脂肪分が少ない高タンパク牛肉です。サシが入っていなくても肉質は柔らかく、肉の旨味と甘みをダイレクトに味わうことができます。

 

和牛の肉についてのまとめ

今回は和牛の肉についてまとめました。

『国産牛』と混同されがちですが、和牛との定義は「黒毛和牛」・「褐毛和種」・「無角和種」・「日本短角種」の4品種のみに限定されています。

近年の食肉格付け基準では、サシの多く入った黒毛和牛が高い等級を得やすく、人気を得やすいですが、その他の種の和牛は赤みが多く、しっかりと肉をあじわえると人気を集めています。

ぜひこれらの肉の違いを学び、黒毛和牛以外も召し上がってみてはいかがでしょうか。