肉のハラミはどこの部位のこと?おいしいハラミの食べ方をご紹介

ハラミは赤身肉のようにあっさりとした味わいながら柔らかく、肉の旨味も強いため焼肉でも大人気ですよね。価格帯も比較的安価であることも人気を博している理由の一つでしょう。

しかし、焼肉の人気者であるハラミがどこの部位か知らない方も多いのではないでしょうか。

今回は、ハラミの部位やおいしいハラミの食べ方をご紹介します。また、同じ部位から取れるサガリ肉との違いやハラミの美味しい焼き方、絶品レシピなども合わせてご紹介しているので是非お試しください。

 

ハラミについて

焼肉などでハラミをよく口にするけどハラミってどこの部位かよく知らない、ハラミの特徴をもっとよく知りたい、カロリーや栄養素が気になるといった方のためにハラミについて分かりやすくご紹介していきます。

ハラミの部位

ハラミ肉の部位は「横隔膜」です。そもそも横隔膜とはいったい何のためにあるのかよく分からないといった方のためにご説明すると、横隔膜は呼吸の働きに欠かせない筋肉の一部です。まず呼吸をするために肺を動かす必要があるのですが、肺そのものに肺を動かす筋肉はありません。そのため、横隔膜などの筋肉を利用して呼吸を行っているのです。呼吸を助けるための補助的な役割をこなすドーム状の薄い筋肉で出来た膜で、横隔膜が収縮して下に動くと空気が肺の中に入り、肺が膨らみます。

 

逆に横隔膜がゆるみ上に戻ると肺の中から空気が押し出され、肺が元に戻る動きをします。横隔膜は呼吸をするためになくてはならない筋肉なのです。この横隔膜の肋骨に接する腹側に付く薄い筋肉がハラミの正体となります。しかし、ハラミは肉の分類ではなく内臓系にカテゴリーされるホルモンです。

なぜ肉でありながらホルモンに分類されるのでしょうか。その理由は肉を卸す際に肺が付属してくることから内臓(ホルモン)扱いとなっているからです。

 

牛一頭を丸ごと買い付けた場合、内臓などを取り除いた状態で納品されることが主となります。肉仲卸業者と内臓を取り扱う業者は別々に存在し、肉と内臓を取り分けて卸すのです。このときに横隔膜が肺と一緒に取り分けられるため、ハラミが分類として内臓(ホルモン)とされているのです。

ハラミの特徴

ハラミの特徴として下記の3点が挙げられます。

  • 希少部位である
  • 価格が比較的安価である
  • ホルモン特有の臭みがない

まずハラミの1つ目の特徴「希少部位」から説明します。ハラミの希少性をお話しするために牛一頭からどれだけのものが取れるかを参考としてご紹介します。牛一頭が約30キログラムで生まれ約700キログラムで出荷されるのですが、290キログラムの肉と70キログラムの内蔵・80キログラムの骨・56キログラムの皮・50キログラムの脂がとれます。残りは頭や足・血液などの重量となります。

 

希少部位とは牛一頭からとれる量が少ない部位のことで、ハラミの量は約2キログラムしか取れないため希少部位に当たるのです。牛の出荷時体重が約700キログラムであることから、約0.3パーセント程度しか取れないことが分かり、ハラミが分類される内臓にのみ着目しても約4.0パーセントと、その希少性が分かります。

 

そしてハラミの2つ目の特徴は「価格が比較的安価」です。前述したように希少性が高い部位であれば金額も高くなるのではと考えることでしょう。しかし、希少部位であることと高価であることはイコールではありません。カルビなどの肉と比べてハラミは価格が比較的安価で入手できます。なぜ希少部位でありながら安く仕入れることができるのでしょう。シャトーブリアンなどの高級肉は希少部位から取れる最高級の肉でかなり高価ですよね。

 

ハラミを安く食べれる理由、それはハラミがホルモンとして流通していることが関係してきます。ホルモンは内臓類を指し、肉類と比べて酵素の働きが活発な上に消費期限が短く扱いがとても難しい食材です。そのため取り扱う業者や店舗が昔は少なく、需要と供給のバランスが供給の方へ比重が多くなり、結果として価格が下がり安くなります。また、1991年に日本は牛肉の輸入自由化を決め、外国産の牛肉が日本に安く仕入れられたことも影響しています。

 

現代ではハラミの需要が高まり輸入自由化により日本の畜産農家が減少した背景もあり価格が高騰していますが、こうした理由からハラミが安いと言われています。

 

最後にハラミの3つ目の特徴「ホルモン特有の臭みがない」についてですが、ホルモン特有のクセとして挙げられるのが独特なにおいです。この独特なにおいの原因は大きく分けて2つの理由があります。

  • 鮮度の落ちが早い
  • 下処理不足

上記の2点が独特なにおいを生み出す原因となります。内臓肉の特性として鮮度の落ちが枝肉と比べはやいため食材が痛んでしまい嫌なにおいを放つもととなっているのです。また脂や身の隙間に汚れが入り込みやすい構造となっているため、汚れからも独特なにおいが生じてしまいます。この独特な嫌なにおいを酒に浸したり塩で揉み洗いをしてにおいを取り除く必要があるのです。しかし、ハラミは比較的このにおいが少なくクセがないことが特徴となります。

ハラミのカロリーや栄養

ハラミはカタロースやバラ肉と比べるとカロリーが低いことが下記からも分かるかと思います。

尚下記は畜産副生物の知識ー全国食肉事業協同組合連合会に記載される100グラムあたりのカロリー換算を参考としています。

 

  • ハラミ 301キロカロリー
  • カタロース 411キロカロリー
  • バラ肉 517キロカロリー

 

100グラムあたり301キロカロリーとハラミはヘルシーな食材として知られ、上記に挙げられるようなカタロースやバラ肉の代わりに食べて体型を維持するなどダイエットにも活用ができるのです。このことから女性に人気があることに納得ができます。また、ハラミには鉄分(ミネラル)とl-カルニチンが豊富に含まれており栄養素としても優れた食材です。ヒトは鉄分が不足すると貧血気味になり疲れやすくなったり動悸やめまいを起こすほか筋肉中のミオグロビンが減少し、筋力の低下を引き起こします。

 

鉄分を摂り、得られる利点はこれらを防止し健康を保つだけではありません。鉄分は美容にも精通しています。鉄分を摂取するメリットは下記になります。

 

  • 赤血球を作る栄養素
  • コラーゲンや骨、粘膜、皮膚の生成
  • 代謝の向上
  • エネルギー代謝を円滑にする

 

また、l-カルニチンは脂肪をエネルギーとして活用するよう働きかけます。具体的には脂肪を燃焼するミトコンドリアへ脂肪を運ぶ役目をする栄養素です。その結果、脂肪をエネルギーとして燃焼し太りにくい体質を作ります。ハラミは健康的で美しい身体を作りたい方に最適な食材なのです。

ハラミとサガリ、肉の違いとは?

焼肉の人気者であるハラミと食べ比べしていただきたい一品が「サガリ」です。ハラミとサガリは、実は切っても切れない仲にあるのです。部位や名前の由来、国内外での名前の違いに触れながらご紹介します。

・部位や名前の由来

ハラミとサガリを食べ比べしていただきたい理由はその部位にあります。ハラミとサガリの部位は同じ横隔膜なのです。それではなぜ名前が違うのでしょう。それはハラミが肋骨に接する腹側の薄い筋肉の部分であり、サガリが腰椎に接する背中側にある厚い筋肉の部分となり、同じ横隔膜でも肉が付く場所が違うからです。切っても切れない仲であるというのは同じ横隔膜に付く内臓肉だからということです。

ハラミとサガリ2つの名前の由来は、ハラミはその名の通り腹側にある身から名付けられました。サガリは内臓を吊り下げている部分であることから呼ばれるようになりました。どちらもほとんどそのままの意味が由来となっているので分かりやすく覚えやすいですね。

・国内外での名前の違い

ハラミとサガリの名前の由来がわかったところで海外ではどのように呼ばれているか気になりますよね。知識として覚えれば焼肉の時に雑談として使える機会があるかもしれません。

 

アメリカ

ハラミ「アウトサイドスカート(Outside Skirt)」

サガリ「ハンギングテンダー(Hanging Tender)」

 

フランス

ハラミ「バベット(Bavette)」

サガリ「オングレ(onglet)」

 

オーストラリア

ハラミ「シンスカート(Thin Skirt)」

サガリ「シックスカート(Thick Skirt)」

ハラミの美味しい焼き方

ハラミの知識が蓄積してきたところで段々と食べたくなってきたという方のために美味しい焼き方のコツをご紹介します。自宅でも焼肉店でも使える方法なので是非お試しください。まず、ハラミを焼く前に室温に戻しましょう。冷凍している場合は解凍してから焼いてください。室温に戻す理由としては、冷たい状態では表面が焼けた状態でも中身まで火が通らなくなりやすいためです。焼き方としては網や鉄板が高温になるまで待ち、強火となってから焼き始めます。

 

ハラミ肉の片面3分の1ほどが焼けて茶色くなるまでよく焼いてください。この時お肉にはなるべく触らないように注意しましょう。触りすぎることで肉汁が溢れ出し肉本来の美味しさが損なわれます。表面に肉汁が浮き出て側面の3分の1ほどが焼けている状態となったらひっくり返しましょう。両面にしっかり焼き色を付けることで内臓肉特有のくさみがある場合もなくせます。厚切りの場合は6面とも火にかけましょう。以上の工程でおいしく焼き上がります。どうぞ召し上がってください。

 

ハラミを使った絶品肉レシピ

・自宅で簡単ハラミ焼肉丼

焼肉のたれで簡単おいしい! ハラミ焼肉丼のレシピ動画・作り方 | DELISH KITCHEN

 

7つの食材で簡単に調理ができ、時短料理で尚且つおいしく食べれる料理の代表格「ハラミ焼肉丼」です。

焼肉のタレがお好みで選べる分アレンジに幅を持たせることができるため、食べた後から次のハラミを何で漬け込むか楽しみで仕方なくなること間違いなしです!

 

・ハラミの特徴を存分に味わえる贅沢ステーキ

牛ハラミステーキ 作り方・レシピ | クラシル

 

ハラミ肉の柔らかさやあっさりとした味わい・味のコクを最大限に活かした料理がステーキです。元々の柔らかさもあり、火加減によって硬くなる心配もありません。手頃にハラミの特性を存分に味わえるステーキを是非ご賞味ください。

 

まとめ

今回はハラミの部位やおいしいハラミの食べ方をご紹介しました。おさらいするとハラミの部位は横隔膜で腹側にある身のためハラミと呼ばれています。またハラミは内臓肉に分類されるヘルシーで健康と美容に関係する食品であることが分かりました。内臓肉であるため、あしが早く鮮度が重要ですがホルモン特有のくさみが少なく赤身肉に近い食味です。焼肉では人気者のハラミだけに、ミートショックによる価格高騰がどれだけ影響するのか心配ではあります。これからもおいしいハラミが安く食べれるといいのですが…。今後の畜産農家の活躍に期待しましょう。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。