オーストラリア産の牛肉とはどんなお肉?国産牛との違いやおいしい食べ方をご紹介

スーパーで見かけるオーストラリア産牛肉。

すき焼きに、牛丼にと大活躍ですが、オーストラリアの牛肉はなぜこんなに安く、安定して店舗に並んでいるのでしょうか?

今回は雄大な自然と野生動物の宝庫であるオーストラリアの牛肉産業についてご紹介します。

オーストラリア産の牛肉について

オーストラリア産牛肉とは?

オーストラリアは日本と同じ島国のようにみえますが、実は大陸としての位置付けになります。

世界で一番小さい大陸、オーストラリア大陸であり、国であるオーストラリアは総面積769万平方キロメートルで、日本の約20倍の大きさを誇る自然豊かな国です。

そんな土地の名産の牛肉を『オージービーフ(Aussie Beef)』と呼びます。

日本生まれのものや人をジャパニーズというように、オーストラリアで生まれた物や人をオージーと呼ぶためです。

オーストラリアには約2900万頭の牛が放牧飼育されており、その数はオーストラリア人口の2300万人を大きく上回っている『牛の国』です。

オーストラリア内の地域によってその土地の気候や風土に合わせた種類の牛を飼育しており、例えば日本と同じく四季がある南部牧畜地帯ではヘレフォードやショートホーンと呼ばれる 産肉性に優れたヨーロッパ系の品種。

対して熱帯性気候であり、雨季と寒季をもつ北部では耐暑性や抗ダニ性に優れるゼブーや ブラーマン、サンタガトルーデスというインド系品種の牛や、その交雑種が育てられており、その品種は全部でなんと約40種類以上。

更にオーストラリアでは、前者のヨーロッパ系牛と後者のインド系の品種を掛け合わせて新しい品種を作る事も盛んで、ブラフォードやドラウトマスターと呼ばれるどちらの気候にも適応できるような、新しい品種の牛もどんどん作出されています。

オーストラリア牛肉と世界の関わり

そんな牛たちは『グラスフェッド』と呼ばれる牧草飼育で、広い敷地で放牧されてのびのび育ちます。

美味しい牧草で育った牛たちは脂身が少なく、赤身のお肉が特徴の牛肉になりますが、オーストラリアは牛肉の輸出国としても世界最大級。

世界で2番目に牛肉を輸出しており、なんと100カ国以上に牛肉を輸出しています。

日本やアメリカ、韓国や中国、台湾、インドネシアなどのアジアからEUまでと幅広い国に対して生体牛と牛肉の輸出をしているオーストラリアですが、輸出する国によっては、日本の和牛のように適度な脂身が好まれる国もあります。

そのためオーストラリアではグラスフェッドで育成したのち、『フィードロット』と呼ばれる肥育場で穀物を与えられ、更に育成される『グレインフェッド』と呼ばれる方法も活用されています。

もともと日本向けに肥育をグレインフェッドで育てていたオージービーフですが、オーストラリア国内や韓国・中国での需要増加に伴ってフィードロット頭数が増え、どんどん飼育日数や方法を多様化させているそうです。

ちなみに2007年度の情報では、グレインフェッドで育てられている牛は約200万頭で徐々にその数字を伸ばしています。

オーストラリアのフィードロットは穀物肥育で有名なアメリカとは違い、遺伝子組み換えコーンなどの穀物は使用せずに小麦などの穀物を与えられることで肥育されます。

干ばつの影響などが大きい地域ではこの『フィードロット』がある種のリスク回避の役割も担っているようです。

世界で一番乾燥した大陸ともいわれているオーストラリアでは、自然環境との共生とダメージコントロールが必須になっているのです。

オーストラリア牛肉の安全性

そもそもオーストラリアで牛が飼育され始めたのは1788年。

今から230年以上前の話になります。

南アフリカから2頭のオスと6頭のメスがシドニーの港に運ばれた事が始まりと言われています。

オーストラリアの地域性として、四方を海に囲まれている島国であるため、他地域からのウイルスや病気が入り込みにくく、更に乾燥した環境であるために病気の発生自体も少ない傾向にあります。

また、厳格な管理体制を持ち、防疫や衛生管理には非常に注力しています。

例えば牛の耳につけるイヤータグ。

オーストラリアでは一頭ずつ個体識別番号がついた電子タグを耳につけており、出生農場などのどこでどんな風に育ってきたかが記録されています。

牛たちの記録はオーストラリア中央のデータベースでしっかりと管理されており、出荷の際も生産農家の証明書付きで出荷される程の徹底した管理体制を呈しています。

そのため、国際的に猛威を奮った牛の病気である狂牛病(牛海綿状脳症)や口蹄疫の発祥ゼロ地域にも認定されており、イギリスが10万頭ものBSE感染した牛が確認された時もオーストラリアでは一頭もBSE感染牛は出ませんでした。

このようにオーストラリアは『健康な牛の住む国』と世界的に認められています。

また、最近ではサスティナビリティ(持続可能性)の問題に対しても、動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点から牛に対して敬意を持って自由を尊重した飼育を行っており、先進的な考え方で食肉業界の模範となり得る対応をしています。

オーストラリアと日本の関わり

オーストラリアと日本は牛の輸出入に関してとても深い関係をもちます。

日本に初めてオーストラリアから牛肉が商業的に輸入されたのは1953年のこと。今から70年近く前になります。

最初は牛肉の大和煮とコンビーフの缶詰の原料にするために牛肉の輸入が始まりました。

現在日本で目にする、スーパーマーケットに並んでいる輸入牛肉のほとんどはオーストラリア産牛肉とアメリカ産牛肉が占めています。

どちらも安価で使い勝手もよく、主婦の味方の輸入牛肉ですが、特にオーストラリア産牛肉2001年に牛の病気『牛海綿状脳症』BSEの問題が発生した際に、非常に高いその安全性で日本の牛肉の消費を支えてくれていました。

現在も日本の牛肉の国内自給率は35パーセント程といわれているため、残りをオーストラリア産牛肉をはじめとした輸入牛に頼っている形になります。

更にオージービーフを輸入する中でも、日本は特にオーストラリアにとって牛肉の内臓であるタンやハラミの最大の輸出先となっています。

更に逆に日本からも2018年に輸出条件が締結され、日本産のサシが入っている和牛を『wagyu』としてオーストラリアの焼肉店などに輸出する動きも増加傾向にあるようです。

オーストラリアと日本の牛肉を通じた関わりはこれからも長く深い関わりになりそうですね。

オーストラリア産牛肉と国産牛との違い

さて、ここまでオーストラリア牛肉の事をみてきましたが、日本の国産牛とはどんな違いがあるのでしょうか?

グラスフェッドとグレインフェッド

一番大きな違いは牛の育て方の違いにあります。

グラスフェッドと呼ばれる牧草飼育か、グレインフェッドと呼ばれる穀物飼育であるかどうかで牛肉の味が変わります。

グラスフェッドは赤身のお肉で脂身が少なく、ヘルシーで健康的なお肉。

グレインフェッドはサシと呼ばれる脂身が入ったジューシーでテンダーなお肉です。

どちらが良いというわけではなく、国民性によって好む味が異なるため、オーストラリア産牛肉は赤身を好む国民が多いためグラスフェッド、対して国産牛は脂身が適度に入った牛肉を好む日本人のため、グレインフェッドの牛肉が多く飼育されています。

最近のオーストラリアでは、日本人向けの輸出牛は最後に穀物を与える期間を設ける事で、適度なサシが入った日本人が好む牛肉を輸出する事が多いようです。

値段の差

国産牛とオーストラリア産牛肉では値段が異なる事がほとんどです。

例えば高級部位の『ヒレ肉』で比べてみると、国産牛は100グラムあたり約1143円、対してオーストラリア産牛肉のヒレ肉は100グラムあたり約430円と倍以上も異なります。

この原因としては、日本の牛農家の高齢化や後継者不足、牛の餌となる穀物の費用高騰など日本経済の問題点が挙げられます。

品種のちがい

先述した通り、オーストラリアで生産されている40種類以上の品種の牛と比較して、日本で生産されている国産牛の多くは『和牛の交雑種』もしくは『ホルスタイン牛』と呼ばれる白黒の日本ではメジャーな牛になります。

オーストラリアで一番メジャーな品種『アンガス牛』が柔らかくジューシーな肉質を持ち、肉本来の旨みが楽しめることに対して、国産牛でメジャーなホルスタインはあっさりとしたたんぱくな味わいが特徴です。

オーストラリア産牛肉のおいしい食べ方

美味しくて健康的なオーストラリア産牛肉。

しかし、自然な草を食べて育ったグラスフェッド牛肉は、日本人からすると肉の独特の臭みを感じる事もあるようです。

上手に調理することで、より美味しくオージービーフを食べられます。

是非あなたにぴったりのオージービーフレシピをみつけてみてください。

超簡単&絶品♡お手軽ビーフストロガノフ

https://cookpad.com/recipe/6291766

材料

  • バター20〜30グラム
  • ローリエ1枚
  • にんにく2片

玉ねぎ小2玉

まい舞茸(キノコ類)適量(好きなだけ!)

○牛肉(今回は牛肩ロース切り落とし)260グラム

○塩・胡椒各少々

○薄力粉大さじ2

薄力粉大さじ1/2

日本酒50cc

水100cc

◇トマト缶1缶

◇中濃ソース(ウスターソース)大さじ2.5

◇砂糖大さじ1

◇醤油大さじ1

◇ケチャップ大さじ1

◇固形コンソメ1個

牛乳100cc

作り方

  1. 玉ねぎを薄切り、にんにくは輪切り、舞茸(キノコ類)は一口大に切っておく。
  2. 肉は、○のついているものと一緒にビニール袋に入れ、薄力粉が全体にまぶせるようにパフパフ、モミモミ〜。*お肉がやわらかく!
  3. ●のついている材料を鍋で炒め、いい匂いがしてきたら玉ねぎを加えて色が透き通ってくるまで炒める。
  4. 3の鍋にキノコ類を加えて炒める。なんとなく火が通ったら、肉も加えて火が通るまで炒める。
  5. 薄力粉を加え、なじませる。(肉にまぶしたのとは別のやつ)
  6. 水と日本酒を加え、とろ〜っとしてくるまで煮込む。
  7. ◇のついている調味料を加え、コンソメが溶けてくるまで煮込む。
  8. 牛乳を加え、しばらく煮込んだら完成!

まずはおしゃれにロシアの伝統料理のビーフストロガノフで。

安価な牛肉でもじっくり煮込んで柔らかく美味しくなります。

冬に食卓を囲んでみんなで食べたい一品です。

やっぱり大好き♪オージー・ビーフで牛丼

https://cookpad.com/recipe/313922

材料

牛薄切り肉(オージー・ビーフ)300グラム

たまねぎ1個

☆水2.5カップ

☆白ワイン大2

☆みりん大2

☆砂糖大1/2

☆顆粒だし小1

☆生姜絞り汁小1/2

◆醤油大1

◆塩小1/4

◆ガーリックパウダー小1/4

ご飯適量

作り方

  1. 牛肉は、適当な大きさに切っておきます。
  2. たまねぎは薄切りにします。
  3. 鍋に☆を入れて煮立てます。牛肉を入れて、あくを取りながら煮ます。(ふたをして弱火で15分程)
  4. 3に、たまねぎと◆を加えて、しっかり味が染み込むまで煮ます。(水が足りなくなった場合は、少し足してください)
  5. あたたかいご飯にのせていただきます。お好みで、紅生姜、七味唐辛子を♪

牛肉といえばやっぱりこれです。

簡単に作れて満足感もバッチリです。

自分好みの味付けで某牛丼チェーン店よりも美味しく作れてしまうかもしれません。

オージー・ビーフdeアジアン風串焼き

https://cookpad.com/recipe/363295

材料

牛肩ローススライス(オージー・ビーフ)300グラム

★ねりごま大さじ2

★玉ねぎのすりおろし1/4個分

★ニンニクのすりおろし1片分

★レモン汁1/4個分

★ナンプラー(醤油でもOKです)大さじ1(醤油なら大さじ2)

★黒砂糖大さじ1

★ケチャップ小さじ2

★カレー粉小さじ1

★唐辛子(一味や七味でOKです)少々

サラダ(お好みの野菜)適量

作り方

  1. ★の調味料をよく混ぜておきます。★黒砂糖の代わりにはちみつや砂糖でもOKです。
  2. 牛肉が大きい場合は一口大にカットしてからマリネ液に15分ほど漬け込み、竹串に刺します。
  3. 屋外でバーベキューにするのも美味しいですが、お手軽にグリルやフライパンでもOK。中火強で両面きつね色になるまで焼いてください。

こちらはビーフの串焼きです。

レモン汁をつけてさっぱり食べても美味しい一品。

思いっきりかぶりついてオージービーフの美味しさを堪能してみてください。

オーストラリア産の牛肉に関するまとめ

いかがでしたか?

安全・安価・美味しいの三拍子揃ったオーストラリア牛肉『オージービーフ』

オーストラリアでは毎週末みんなでBBQをして、オージービーフを囲んで食べるところも多いそうです。

皆さんも今週末はオージービーフで楽しい晩御飯にしてみませんか?