レバーについてご紹介!レバー肉のおいしい焼き方・肉料理

栄養満点のお肉であるレバー。あのレバー特有の風味や食感が大好き、という声もある一方で、レバーに対して苦手意識がある方も多いです。

体にいいけど臭みが苦手で食べられない…臭みが強くてレバニラくらいしかレバー肉レシピのバリエーションが無い…

しかし大変豊富な栄養価を持っているのに、臭みを気にしてレバーを避けているのは勿体無いかもしれません。実はあの臭みを消して、より美味しくレバーを食べる事が出来る方法があるのです。今回は知られざるレバーの世界をご紹介します。

肉のレバーについて

そもそもレバーとは?

繊維が細かく柔らかで、独特の風味が人気のレバー。肉の中で大変メジャーで人気の部位ですが、そもそもレバーとはどこの部位を指すのでしょうか?

実はレバーとは肝臓の事。体に必要な蛋白の合成や貯蔵をしている器官のため、栄養も豊富な万能な臓器で、ほとんどの生き物が持っている重要な内臓です。

その栄養価の高さから『栄養の宝庫』『栄養の王様』とも呼ばれることがあるレバー。スーパーマーケットなどでもよく見かけることがありますが、実は生き物によってその食感や風味、味は異なります。よく見かける牛、豚、鳥でもその違いは顕著です。是非選ぶときの参考にしてみてください。

牛レバー

一頭から約8キロのレバーが取れる。臭みは強めだが旨みも強く、焼肉やワイン煮込みに最適。

抗酸化作用の強いビタミンEを豊富に含んでおり、老化や生活習慣病の予防にもなる。

豚レバー

一頭から約1.5キロのレバーが取れる。ぷりぷりとした弾力があり、つぶつぶした表面が特徴的。鉄分やタンパク質がレバーの中でも特に高い。

レバニラ炒めや揚げ物に最適。

鳥レバー

鳥レバーは別名キモ、チギモとも呼ばれます。3つの中で一番臭みが少なく、扱いやすい。葉酸など、女性が特に必要とする栄養価が多く含まれている。

ねっとりとした食感と濃厚な味わいが特徴。甘辛煮やレバーペーストなどに最適。また、一生に一度は食べてみたい高級料理『フォアグラ』もじつはガチョウの肝臓です。

フォアグラを作るためのガチョウは蒸したとうもろこしや油性混合物などの特殊な餌を与えられ、肝臓にたっぷりと脂肪を蓄えた『脂肪肝』という状態になります。

その肝臓があのとろけるような食感の正体なのです。

レバーの栄養素と高い栄養価

先述した通りレバーは大変高い栄養価を持ったお肉で、沢山の体に良い栄養素を持っています。特にレバーの特筆すべき栄養素としてはその鉄分の多さが挙げられます。

鉄分が不足しがちな妊婦さんや生後6ヶ月以上の赤ちゃんの離乳食に大変役に立つ他にも、そもそも鉄分は男性で1日10ミリグラム、女性で18ミリグラムが必要摂取量と言われていますが、この量の鉄分は、同じく鉄分が含まれていることで有名なほうれん草だと900gもとらなければならない計算になります。ほうれん草1束あたりが約200グラムといわれているので、その量の多さがよくわかります。

その点、特に豚レバーでは100グラムあたり13ミリグラムも鉄分が含まれており、少量でも鉄分をしっかりと摂取することができるのです。

更に鉄分は、吸収率が高いヘム鉄と吸収率が低い非ヘム鉄に分けられるのですが、レバーに含まれる鉄分はヘム鉄なため、効率よく鉄分を吸収することができます。鉄分が不足する事で、心臓が酸欠になる『鉄欠乏性貧血』になってしまうと全身の倦怠感、耳鳴り、めまい、息切れなどの不快な症状や、ひどくなると心筋梗塞の原因にもなることがあるので注意が必要です。

また、レバーに多く含まれる栄養素の一つとしてビタミンAがあります。ビタミンAの効果としては、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、抵抗力を強めたりする働きがあり、我々の生活においてなくてはならない栄養素です。

ビタミンAが不足すると夜盲症と呼ばれる症状が現れたり、子供の場合は成長が停止してしまうことまであるそうです。

更にレバーの素晴らしい点としてその『即効性』も挙げられます。ビタミンAを摂る際、食べ物から栄養素を吸収してそれを変換するプロセスが必要になりますが、レバーはダイレクトにビタミンAの摂取ができるため、すぐにビタミンAを体内で利用することができるのです。ただし、ビタミンAは摂りすぎると頭痛などの症状が出ることもあるため、摂取のし過ぎには注意しましょう。

レバ刺しは危険?

レバーと聞くとレバ刺しを思い浮かべる方も多いかもしれません。その昔は居酒屋などでもレバ刺しは大人気の一品でした。

しかし、焼肉チェーン店で生のレバーによる集団食中毒事件が相次ぎ、死者まで出たことから2012年に厚生労働省は食品衛生法に基づいて牛のレバーの生食用の販売や提供を禁止するに至りました。牛のレバーには食中毒を引き起こす腸管出血性大腸菌O157やカンピロバクター及びサルモネラが付着していることがあり、安全性を確保するためには牛の生食を禁止する以外方法がないためでした。

また、2015年には同じく食品衛生法に基づき、豚のお肉やレバーを含めた内臓を生食用として販売、提供することを禁止。

豚は牛と同じサルモネラやカンピロバクターの他に、治療法が見つかっていないE型肝炎を引き起こすウイルスや、有鉤条虫、旋毛虫等の寄生虫に感染する可能性もあるため、大変危険な事が分かっています。鳥にはまだ法的規制はなされていませんが、実は食肉処理後の鶏肉は高確率でカンピロバクターに汚染されているため、カンピロバクター食中毒を起こす危険性がかなり高くなります。

『新鮮だから大丈夫』と思われる方もいるかもしれませんが、実はこのカンピロバクターは新鮮な生肉ほど増殖しやすい傾向があります。食中毒の症状が治ってからも『ギランバレー症候群』という難病を発症することもある恐ろしい食中毒です。

レバーを食べる際は必ず、中心部が75℃に達してから1分以上加熱をして食べましょう。なお、馬肉だけは少し例外です。

馬は他の動物に見られる食中毒菌がおらず、代わりに寄生していることがあるサルコシスティスフェアリーという寄生虫は馬肉を中心温度マイナス20℃で48時間以上冷凍処理すると、食中毒を防ぐことができるのです。そのため、馬刺しは唯一生で食べる事ができるレバ刺しです。

幻のレバー白レバー

肝臓、レバーは実は動物の臓器の中で1番柔らかい臓器と言われていますが、その中でも更に柔らかいトロッとしたレバーが存在します。これは『白レバー』と呼ばれており、その希少性から『幻のレバー』とも呼ばれることがあります。

白レバーはフォアグラと同じく脂肪肝と呼ばれる脂肪を蓄えた肝臓の事。レバーと比較して独特の臭みが少なく、甘くまろやかな口当たりが特徴です。これは夏の間に暴食した鶏が肝臓に他の鶏よりも多量に脂肪を蓄え、自然に脂肪肝となったもので、捌いてからでないと発見できません。

作ろうとして作れるものではないので希少性が高く、季節によって異なりますが40羽に1羽の割合とも言われています。大変美味でファンの多いレバーになります。

肉のレバーの美味しい調理方法

そんな栄養満点かつリーズナブルな我々の強い味方『レバー』ですが、あの臭みが苦手という方は少なくありません。

特に自宅で調理するとあの強い臭みが残ってしまう…という方のためにレバーの美味しい調理・下処理の仕方、焼き方をご紹介します。

【レバーのおいしい調理方法】血抜き

レバーは焼く前の血抜きが肝心です。

血抜きとは水を使用して加熱すると臭みとなる素の『鉄分』と『アラキドン酸』をしっかりと洗い落として下処理をする事を言います。詳しい方法をご紹介します。

水で血抜きする場合

  1. 鶏レバーの白い脂肪部分を取り、一口大に切ります。
  2. ボウルに1と水を入れ、一方向に20回程かき混ぜたら、流水で洗い流します。これを3回程繰り返したら、水気を切ります。

これでも臭みが気になる場合はこの後に牛乳や塩を使用します。

牛乳を使う場合

  1. ボウルに先ほど流水で洗い流したレバーと、鶏レバーがひたるぐらいの牛乳を入れたら、ラップをして冷蔵庫で1~2時間漬け込みます。
  2. ザルに上げて水気を切り、キッチンペーパーで水気を取ります。

塩を使う場合

  1. ボウルに先ほど流水で洗い流したレバーと塩を入れ、やさしく揉み込んだらラップをして、冷蔵庫で20分程置きます。
  2. 水でサッと洗ったら、ザルに上げて水気を切り、キッチンペーパーで水気を取ります。

他にもレバーをスライスした後に氷水につける方法や、塩と酢で揉む事で臭みを消す方法、更には醤油と酒につけることで下味をつけつつ臭みをとることができる方法などもあります。

その後の調理法や、自分がやりやすい血抜きの方法で選択するといいかもしれません。

【レバーのおいしい調理方法】焼き方

レバーの成分である『アラキドン酸』は100℃以上の加熱により酸化、レバー特有の臭みを発します。

そのため、焼くときは100℃未満で余熱などでしっかり火を通す事が大切です。

低い温度で調理をすると、先述したO157を不安に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、生レバーで猛威を振るう腸管性出血大腸菌O157は、肉の中心温度が75℃以上で1分以上火が通ることで死滅するため心配いりません。

保温性の高い厚手の鍋で余熱を使って調理することによって、より臭みのないレバーにすることができます。

温度が不安な方はピック状になっている温度計で中の温度を測りながら焼いてみてください。

更にそれでも臭みが気になる場合は、ニンニクやニラなどの香りが強いものと炒めると全く臭みが気になることなく美味しくレバーを召し上がる事ができますので、是非試してみてください。

レバーを使った肉料理

日本でも世界でも、レバーはその独特な風味と栄養価が高く評価され、さまざまな調理法で食べられてきました。

今回は美味しいレバー料理のレシピをご紹介します。

是非ご自宅でも健康に良いレバー料理を取り入れてみてください。

とまらない!鶏レバーの甘辛煮

https://cookpad.com/recipe/296711

材料

鶏レバー250~300グラム位

生姜1かけ

  • しょう油大さじ2
  • 砂糖大さじ2
  • 酒大さじ2
  • みりん大さじ1

お好みで玉ねぎ1/2個

お好みでゆで卵好きなだけ

作り方

  1. 鶏レバーを流水にさらし、何度か水を換え10分くらいつけておく(牛乳を大さじ2位加えるとさらにくさみがとれます)。
  2. 生姜は薄切りにする。鍋に湯を沸かしてレバーを入れ、1分位ゆでて(レバーがぷりっとするくらいにさっと)ザルにあける。
  3. レバーを水で洗って、血の固まりと余分な脂肪を取る。肝臓は真ん中の細くなってるところで半分に切る。
  4. 鍋にレバー、生姜、●を入れて落としぶたをして、強火にかける。具が多いときは水を大さじ2ほど入れてください。
  5. 沸騰したらあくをとって中火にし、3.4分煮る。玉ねぎ(くし形に切る)とゆで卵を入れるときは、一緒に入れて煮ます。
  6. 強火でお好みの加減に煮詰めて完成。煮詰めすぎなければさっぱりめ、汁気をなくなるまで煮詰めれば照り照りのこってり系に。

こちらは鳥レバーを使用したレシピ。甘辛く煮つけてテラテラしたレバーがたまりません。

砂糖の代わりに蜂蜜やマーマレードを使用しても美味しいそうです。炊きたての白米を大盛りで食べたくなる味です。

夏にスタミナ満点!!レバニラ炒め

https://cookpad.com/recipe/1921117

材料

  • レバー200グラム
  • もやし1袋
  • ニラ1束
  • 牛乳1カップ
  • 酒小さじ1
  • 醤油小さじ1
  • にんにく(すりおろし)小さじ1
  • しょうが(すりおろし)小さじ1
  • 鶏がらスープの素小さじ1
  • 醤油大さじ2
  • みりん大さじ2
  • オイスターソース大さじ1
  • 砂糖大さじ1.5
  • 片栗粉大さじ2~
  • ごま油適量

作り方

  1. レバーを一晩牛乳に浸して血抜きをする。
  2. 牛乳に浸したレバーを洗い、水気をよく切る。○の調味料につけて、下味をつける。
  3. もやしは軽く水洗いし、ニラは5㎝ほどに切っておく。
  4. 20~30分ほど調味料に漬けたレバーの水気を軽くとり、片栗粉をまぶす。
  5. フライパンに少し多めのごま油を入れ、レバーを揚げ焼きにする。火が通ったら、いったんレバーを取り出す。
  6. フライパンを一度拭き取り、再度ごま油を入れたら、もやしとニラをさっといためる。
  7. もやしとニラに油がまわったらレバーを戻しいれ、●の調味料を加えて、出来上がり~。

こちらは王道のレバニラ炒め。

レバーに片栗粉がまぶしてあるため、調味料がよく絡み付いて美味しいレバニラになります。

夏バテや風邪に打ち勝てそうなスタミナメニューです。

レバー嫌いでもパクパク♡レバーフライ

https://cookpad.com/recipe/3491897

材料

  • 鳥レバー400グラム
  • 卵1個
  • 小麦粉適量
  • パン粉適量
  • 牛乳少々
  • にんにく (チューブ可)少々

作り方

  1. レバーを薄めにスライスし、牛乳とにんにくに漬ける。
  2. 30分くらい漬けたら水気を切り、フライの要領で、小麦粉→溶き卵→パン粉の順に付ける。
  3. パン粉をつける時に、たっぷりパン粉を用意し、手のひらでレバーを押しつぶしながら薄く伸ばしてパン粉をしっかりつける。
  4. フライパンなどに油を入れ両面こんがり揚げる。油は少なめで十分あがります。

ソースをかけて召し上がれ♡

東京の下町、月島の名産であるレバーフライをご自宅でも。

鳥レバー以外のレバーでも美味しく作る事ができそうです。

なるべく薄めに切ることでレバーの臭みを緩和させることができますが、食べやすくてどんどん箸が止まらなくなりそうな一品です。

お店の味!絶品レバーペースト!

https://cookpad.com/recipe/4858459

材料

  • 鶏レバー(ハツ除く)230グラム
  • 玉ねぎ(小さめなら1/2個)1/4個
  • セロリ1/2本
  • にんじん1/3本
  • にんにく1カケ
  • オリーブオイル適量
  • 赤ワイン100cc
  • コンソメキューブ1個
  • ローリエ1枚
  • 塩小1/2
  • 生クリーム100cc
  • バター30グラム
  • ピンクペッパー、粒胡椒少々

作り方

  1. ハツとレバーを切り分けて下処理を行います。
  2. ハツを切り離し、余分な脂を切り落としたら縦に切れ目を入れて開きます。レバーは血合いやスジを取り除きます。
  3. レバーは一口大に切ります。
  4. レバーが浸るくらいのたっぷりめの水に塩小さじ1弱(分量外)を入れてレバー、ハツを20〜30分つけておきます。
  5. 塩水につけたレバーとハツを流水で1つずつ丁寧に、血合いをきれいに落としていきます。これを丁寧に行う事で、臭みが消えます。
  6. 火が通りやすいように、玉ねぎ、セロリは薄切り、にんじんは薄いいちょう切り、にんにくはみじん切りにします。
  7. オリーブオイルとニンニクを入れて香りが出てきたら、玉ねぎ、にんじん、セロリを入れて焦がさないように中火で炒めます。
  8. 野菜が透き通ってしんなりしてくるまで5分くらい炒めます。
  9. しんなりしたら、水気を取ったレバーを入れて2〜3分炒めます。
  10. レバーの色が全体的に変わってきたら、ワイン、コンソメ、ローリエを入れます。
  11. 中火でふつふつしてきたら、塩を入れて弱火〜中火で汁気が少なくなるまで焦げないように煮詰めます。
  12. 汁気がなくなったら、火を止めて粗熱をとります。
  13. 粗熱が取れたら、ローリエを取り除いてフードプロセッサーに入れてペースト状になるまで混ぜます。
  14. 全体がペーストになるように途中スプーンで混ぜながら何度かに分けてフードプロセッサーを回します。
  15. ースト状になったら、バター、生クリームを入れて、再度フードプロセッサーで混ぜます。
  16. 滑らかなペースト状になったら、冷蔵庫で2〜3時間冷やして完成です!
  17. ピンクペッパー、粒胡椒を散らして出来上がり!(粒胡椒はなくても大丈夫です)

こちらはレバーに一手間を加えて、おしゃれなおつまみに。ちょっとしたパーティーで出したら歓声があがること間違いなしの一品です。

フランスパンやワインと一緒にどうぞ。クリスマスなどを彩る一品にもピッタリです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ちょっとクセがあるレバーも、ポイントとコツをおさえると栄養たっぷりの美味しいお肉として、バリエーション豊かな様々な食べ方で食べる事ができます。

是非毎日の食卓に『栄養の王様』であるレバーを取り入れて、健康に毎日を過ごしましょう。