焼肉屋さんに行って何を注文されていらっしゃるでしょうか。 焼肉の定番メニューといえば、赤身です。 焼肉の赤身とは、脂身の少ない部位のお肉のことを言います。低カロリーで低脂質なのですが、たんぱく質は他の部位と比較して多めです。
今回は、焼肉の赤身について更に詳しく解説します。さらに焼肉の赤身のおいしい食べ方、レシピも紹介します。
焼肉の赤身とはどこの部位のこと?
焼肉の赤身とは
焼肉の赤身とは、肉本来のお肉の味を味わうことができる脂身の少ない部位です。弾力もあってしっかりと歯ごたえがあります。豚肉にもラムにも赤身はありますが焼肉屋さんにある赤身の多くは、牛肉です。牛肉の赤身は、多数部位がありいろいろ楽しむことができます。
焼肉の赤身を選ぶときには、鮮明な赤色のものを選ぶといいでしょう。また、ドリップの出ていないものを選んでください。
牛の赤身の場合、脂身が少ないため焼き過ぎてしまうことにも注意が必要です。さっと焼く感じでおいしく食べることができます。
焼肉の赤身と霜降り
焼肉の赤身と相対する肉として霜降りがあります。霜降りは、白い脂肪が細かく入り込んでいる部分のことです。
馬、牛、羊にも霜降りがあり、サシという言い方をします。また、豚、鶏には霜降りはありません。
正確に言えば豚にも脂肪部分はありますが、牛のような感じではサシは入りにくいです。
また、鶏は体のなかに脂肪をためこまないのでサシはありません。
霜降りという言い方をすれば、ちょっと高級感のある焼肉という感じがありますが、簡単に言ってしまえばサシのありなしです。サシが入っていることで、やわらかいと感じたり脂の旨味に魅了される方々がいらっしゃることでしょう。
しかし、霜降りが入ることで味がしつこいと感じてしまうかもしれません。当然のことですが赤身がいいという方々も多いです。
あっさりとした焼肉を食べたいと思えば、赤身がおすすめです。
焼肉の赤身はなぜ赤い?
それぞれのお肉には色があります。実際には、肉によって色は違って見えます。
鶏のささみであったり、ももは薄いピンク色です。しかし、牛であったり馬は鮮明な赤色をしています。
なぜ、赤身は赤色をしているのか疑問を持つ方々もいらっしゃることでしょう。
お肉は、「ミオグロビン」という赤い色素が含まれています。ミオグロビンは、筋肉のなかに含まれているタンパク質のことで、酸素分子をため込む役目を担っています。
また、ミオグロビンは153個のアミノ酸からなりたつ「グロビン」というタンパク質、鉄イオンで生成されている「ヘム」により作られています。
さらに、筋肉は大きく分類すると「速筋」と「遅筋」があります。速筋は瞬発力を発揮する筋肉であり、遅筋は持久力を発揮する筋肉です。
一般的に持久力を持続させるためたくさんの酸素が必要となるので遅筋の方がより多くのミオグロビンが含まれています。
よって遅筋が発達している馬肉であったり牛肉は、他のお肉と比較して赤い色をしています。
焼肉の赤身はヘルシーなの?
焼肉の赤身部分と言えば、ヘルシーと思っている方々も多くいらっしゃることでしょう。
赤身肉がヘルシーなのは事実です。
「馬肉の赤身」
脂質(100gあたり) 2.5g
水分(100gあたり)76.1g
「和牛肩ロースの赤身」
脂質(100gあたり)19.8g
水分(100gあたり)60.7g
「和牛肩ロースの脂身つき」
脂質(100gあたり)22.3g
水分(100gあたり)58.8g
このように脂身つきの方が脂質は多い傾向にあります。
赤身はヘルシーなお肉であることは事実です。ダイエットしている方々などは焼肉の赤身を敢えて選んで食べるといいでしょう。
また、お肉に含まれているたんぱく質は、傷ついた皮下脂肪を修復する働きを持っています。エクササイズであったり筋力トレーニング、またスイミングをしている人たちの場合、トレーニングのあと、赤身を積極的に食べることで太りにくい体質を作ることができます。
また、赤身には「L-カルチニン」という物質も含まれています。このL-カルチニンはエネルギー代謝に必要な物質です。また、他の栄養素で代替することはできません。
さらに「脂肪酸」はL-カルチニンと結合し、ミトコンドリア内に入ります。そして、脂肪の代謝を促していきます。
焼肉の赤身の部位と特徴とは?
焼肉の赤身の部位の特徴を解説します。
肩
肩は運動でしっかり使われる部位であるので脂分が少なくてあっさりとした味わいです。
薄く切って様々な料理に使用されています。
また、肩の部位はゼラチン質が豊富で、煮れば旨味が溶けていくのでスープにも使われています。
肩ロース
肩ロースの部位は、比較して脂が多めです。霜降りも入り、ステーキなどに適しています。
また、薄く切ってしゃぶしゃぶ肉に使われる方々もいらっしゃることでしょう。
ヒレ
ヒレ部分は、脂が少なくてきめ細かく、やわらかいお肉です。ヒレは牛1頭から2本しか取ることができないため、希少な部位です。ステーキであったりヒレカツなどで使用されています。
モモ
モモは焼肉の赤身の中で最も脂が少ない部位です。しっかり肉質もあって、すき焼きであったり、しゃぶしゃぶ、ローストビーフなどで使用されています。
外モモ
外モモの部位は、硬めで肉質はしっかりしています。比較的リーズナブルな価格で購入可です。カレーであったりシチューの煮込み料理で使われています。
ランプ
ランプの赤身は、きめ細やかさを感じるお肉です。深みのある味わいを楽しむことができます。焼肉、ステーキ、ローストビーフなど様々なシーンでおいしく食することができます。
牛によって赤身の量も変わる
焼肉の赤身は、牛によっても違いがあります。
和牛 輸入牛
基本、焼肉の赤身は、脂肪が少ない特徴を持ちますが、和牛の赤身の場合、霜降りが入ることがあります。また輸入した牛の赤身の場合は、霜降りはそれ程期待できず、赤色をより鮮明に感じることでしょう。脂身が少ない分、質感がしっかりしていて淡白な味です。
和牛の種類
和牛はおおかた4種類に分けることができます。
・黒毛和牛
・あか毛和牛
・短角和牛
・無角和牛
この中でも一番知られているのは黒毛和牛です。なぜ、多くの方々が黒毛和牛のことを知っているのかといえば、国内で流通する和牛のほとんどは黒毛和牛と言っていいからです。
黒毛和牛は全国で生産され、「神戸ビーフ」、「松阪牛」、「近江牛」なども含まれます。
黒毛和牛の大きな特徴は、脂肪交雑が多いことです。まさに日本人の方々の霜降り嗜好が、黒毛和牛の人気を高めたとも言われています。
あか毛和牛は、朝鮮がルーツとされる品種をベースとし、海外の肉用種を掛け合わせ成立したと言われています。体格が大きくて温厚な性質をしていて放牧に適しています。
あか毛和牛の特徴は脂肪交雑が適度にあり、うま味を豊富に含んだ赤身が多いことです。健康志向であったり嗜好の多様化、牛肉に対しての嗜好も変化するなか黒毛和牛とは違うお肉の魅力があり人気が高まっています。
短角和牛は赤身肉ブームの中で、赤身がおいしい牛として知られるようになりました。
岩手県の北部、農耕や塩を内陸に運ぶために使われていた牛のことを「南部牛」と言います。南部牛にショートホーンという海外の肉用種を掛け合わせて誕生しました。
サシもありますが、赤身部分が比較的多いです。
無角和牛は、日本の黒毛和牛に、ヨーロッパで誕生したアバディーンアンガス種を掛け合わせた品種です。無角和牛には角がありません。
和牛品種の中では一番頭数が少なく、2012年4月の段階では200頭程度しか残っていない希少品種です。ですから、スーパーなどでそれ程気軽にお目にかかることはないのかもしれません。
肉質は黒毛和牛に次いで、いいとされています。もともと黒毛和種なので当然の結果なのかもしれません、程よい霜降りがあり、和牛独特の風味を味わうことができます。
しかし、筋繊維は黒毛和牛ほど細かくはありませんので、まろやかさは黒毛和牛に劣るかもしれません。
赤身を焼肉で美味しく焼く方法
焼肉の赤身の部位をもっとおいしく食べる焼き方を解説します。
サシが少なく赤身の割合の多いお肉でもポイントは、
・肉を常温に戻す
・筋切りをする
・塩こしょうは直前に
・強火で短時間で加熱する
・65℃を超えないようにする
・余熱で火を通す
肉を常温に戻す
冷蔵庫から出したばかりのお肉は冷たくて、加熱に時間がかかります。冷たいままの肉を焼いてしまうと、「表面は焼けたけれど中部分は生焼け…」「中まで火を通すのに時間がかかり結果パサパサになってしまった…」 ということになります。
ですから、焼こうと思う30分から1時間程度前に冷蔵庫から出し、常温に戻すようにしてください。
筋切りをする
お肉を加熱すると、肉の繊維質が急激に縮んで、形や大きさが大きく変わります。そこでそり返ってしまって上手に焼けなかったりすることがありますし、食べた時に筋ばってしまうこともあります。
そのような問題を解決するためには、あらかじめ切り目を入れて、繊維質を短くしておきます。
また、よりやわらかさを求めているのなら、フォークを使って全体をブツブツ刺して繊維質を断つといいでしょう。ただし、やわらかい食感にすることができるのですが、肉汁が出やすくなってしまうためジューシーさはやや落ちてしまうかもしれません。
塩こしょうは直前に
塩を振ることでお肉の内部の水分が表面に引き出されてきます。塩を振ってから焼くまでの時間が長い場合、旨味成分と一緒にお肉内部の水分が流出してしまうことになります。よって、塩は焼く直前にということを心掛けるようにしてください。
強火で短時間で加熱する
中心まで加熱し過ぎないようにするため長時間の加熱は避けてください。強火を使って表面に焼き色をつけましょう。
やわらかく仕上げるため、加熱は強火で短時間がポイントとなります。
65℃を超えないようにする
焼肉の赤身をジュ―シ―にやわらかく仕上げるには、お肉の中心温度が65℃を超えないようにすることもポイントとなります。
65℃を超えてしまうと、お肉の中にあった旨みの肉汁がどんどん外に流出してしまい、お肉が固くなってしまいます。
お肉の中心温度がおおよそ65℃近くに熱せられれば、表面にうっすらと肉汁が浮き上がってきます。
浮き上がってきた肉汁が中心温度65℃の目安です。またそれがお肉を裏返すタイミングです。ひっくり返して裏面も表面にうっすら肉汁が浮かび上がってきたらおいしい出来上がりです。
余熱で火を通す
火を止めてもお肉は熱を持っているので加熱は進んでいきます。この過程を有効的に活用し、焼いた後アルミホイルで包んで少し休ませましょう。
中心部までじんわりと加熱されて、絶妙な焼き加減にすることができます。
さらに加熱することによって温まって、肉の中を循環している肉汁を肉内部に落ちつかせることができ、「溢れ出し」を防止することができます。
赤身の美味しい調理法
ここからは、赤身のおいしいレシピを紹介します。
牛ステーキ肉のオーブン焼き
材料 (4人分)
牛肩ロース肉[ステーキ用] 400グラム
キャベツ 1/2個(400グラム)
かぼちゃ 200グラム
玉ねぎ 1個
ヤングコーン 5本
アスパラ 4本(80グラム)
塩胡椒 少々
塩 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ2
マリネ液
白ワイン 大さじ1
オリーブオイル 大さじ1
レモン[国産] 1/2個
にんにく 1かけ
タイム 2枝
ローリエ 1枚
作り方
1. 牛肉は塩胡椒をふり、食べやすい大きさに切ります。
2. キャベツは4等分の放射状に切ります。かぼちゃは食べやすい大きさに。玉ねぎは8等分の放射状に。アスパラは下半分皮をむいて、斜め3等分に切ります。レモンは輪切りに。にんにくは半分に切り、つぶします。
3. 保存袋に牛肉、2を入れて揉み込み、冷蔵庫に入れ30分程おきます。
4. オーブンを200℃に予熱し、天板にクッキングシートを敷き、3とキャベツ、かぼちゃ、玉ねぎ、ヤングコーン、アスパラを敷き詰めて、お塩をふって、オリーブオイルを全体にまわしかけます。200℃に予熱したオーブンで20〜25分程焼いてください。
牛ステーキと野菜、ガッツリ食べられる贅沢な一品です。
ブリスケットのバーベキューグリル
材料 (4〜5人分)
牛肩バラブロック肉(ブリスケット)
1000グラム
肉下味用
砂糖 大さじ1/2
塩 小さじ1と1/2
黒胡椒 小さじ1/2
ガーリックパウダー 大さじ1
★バーベキューソース
ケチャップ 大さじ3
ウスターソース 大さじ2
しょうゆ 大さじ1
はちみつ 大さじ1
おろしにんにく 小さじ1
チリパウダー 大さじ1/2
作り方
1小さいボウルに●を入れて混ぜます。
オーブンを200℃に予熱しましょう!
2牛肉の表面に1をすりこんで15分ほどおきます。
3牛肉をバットに入れて、天板にのせます。予熱したオーブンで1時間程度焼きます。
4ボウルに★を入れて混ぜます。
5牛肉のバットを取り出して、オーブンの温度を150℃に下げ、牛肉にバーベキューソースをかけ、アルミホイルをかぶせます。再度オーブンに入れて、途中で2〜3回ほどバーベキューソースを肉に回しかけながら、肉にしっかり火が通るまで2時間30分~3時間ほど焼きます。取り出したら、アルミホイルをかぶせたままで30分ほど休ませてください。
6食べやすい大きさに切って、お皿に盛ります。バットに残ったバーベキューソースをかけましょう。
ブリスケットとは、前足の付け根あたりの部位のことです。しっかりとした肉質がとてもおいしいです。
牛ヒレステーキのマッシュルームソース
材料 (2人分)
牛ヒレ肉[ステーキ用] 2枚(200グラム)
マッシュルーム 100グラム
玉ねぎ 1/4個
クレソン 2本
塩胡椒 少々
サラダ油 大さじ1
マッシュルームソース調味料
塩 小さじ1/3
胡椒 少々
生クリーム 100cc
作り方
1牛肉は塩胡椒を両面にふります。牛肉は冷蔵庫から出し常温に戻しておきましょう。
2マッシュルーム、玉ねぎは薄切りにします。
3フライパンに半量のサラダ油を入れ熱します。牛肉を入れて焼き色がつくまで中火で焼きます。さらに裏に返して、お好みの焼き加減になるまで焼いてください。
4 3のフライパンをキッチンペーパーでさっと拭いたあと、残りのサラダ油を入れ熱します。マッシュルーム、玉ねぎを入れて中火で炒めます。
5 4を加え混ぜます。温まるまで加熱します。お皿に3を盛って、マッシュルームソースをかけ、クレソンを添えましょう。あっさりとした牛ヒレ肉に濃厚マッシュルームソースがグッドマッチングです。
ローストビーフ
材料 (3人分(5.5合炊き炊飯お皿使用))
牛もも塊肉 250グラム
サラダ油 大さじ1/2
熱湯 1000cc
わさび 少々
作り方
1フライパンにサラダ油を入れて熱します。牛肉を入れて、全体に焼き色をつけましょう。
2耐熱の保存袋に1の肉を入れます。
3炊飯お皿に熱湯を入れ、2を入れます。上から皿をのせて重しをします。そのまま保温で30〜40分置きます。
4肉を取り出して、袋ごと氷水に入れ粗熱をとってください。冷蔵庫で冷やし、薄くスライスする。お皿に盛って、お好みでわさびを添えとgood。
「炊飯お皿」の保温機能を使用してオーブンや湯煎は使わず。クッキング初心者でも柔らかいしっとりした仕上がりになります!
ネギ塩牛ステーキ
材料 (2人分)
牛もも肉[ステーキ用] 2枚
塩胡椒 少々
サラダ油 小さじ1
ネギだれ
長ねぎ 1本
レモン[国産] 1/2個
おろしにんにく 小さじ1/2
塩 小さじ1/4
黒胡椒 少々
ごま油 大さじ1
仕上げ用
かいわれ 少々
作り方
1牛肉は塩胡椒をふり、10分程おきます。
2ねぎは小口切りにします。レモンは2枚薄切り、残りはしぼります。
3フライパンにサラダ油を入れて強めの中火で熱します。牛肉を入れ両面それぞれ1分程ずつ焼いて、取り出しアルミホイルで包みます。粗熱がとれたら食べやすい大きさに切ってください。
4 3のフライパンにごま油を入れて中火に熱します。ねぎ、おろしにんにくを入れ炒め、レモンの薄切り、レモンのしぼり汁、塩、黒胡椒を加え炒め合わせます。
5 お皿に牛肉を盛って、ネギだれをかけ、ネギだれのレモンをのせる。かいわれを添えます。
黒胡椒がキリリと効いたネギだれをたっぷりかけて召し上がってください♪
まとめ
今回は、焼肉の赤身について解説しました。
焼肉の赤身は、肉本来のお肉の味を味わうことができる脂身の少ない部位です。弾力もあり歯ごたえがあります。
あっさりとした焼肉を食べたいと思えば、赤身がおすすめです。
今回、赤身のレシピも紹介してありますので、いろいろ試してみるといいでしょう。みなさんのアイデアで、よりおいしいレシピを発見してください。