スーパーでよく見かけるアメリカ産の牛肉。日本の和牛と、どう違うのでしょうか。
この記事ではアメリカ産の牛肉についてや、アメリカと日本の牛肉の違いについて解説します。また、アメリカ産の牛肉を使った美味しいレシピも紹介しているので、ぜひ作ってみてください。
アメリカ産の牛肉について
アメリカの牛肉はどのような特徴を持つのでしょうか。アメリカは日本と比べて土地が広大なため、自然放牧で牛が育てられます。
また、日本向けに輸出するには厳しいプログラムに合格する必要があります。そのため、さまざまな検査に合格した牛だけが日本に輸出されています。
アメリカ産の牛肉の種類
アメリカ牛肉には和牛と同じく、さまざまな種類があります。それぞれについて紹介します。
【アメリカ産の牛肉】アバンディーン・アンガス種
アバンディーン・アンガス種は、北スコットランドが原産の食肉用の牛です。アメリカをはじめ、ヨーロッパやオーストラリアで飼育されています。
元々牛肉は煮込み料理として使われることが多かったのですが、アバンディーン・アンガス種の誕生によりその常識はくつがえされました。アバンディーン・アンガス種はとても柔らかい肉質なため、ステーキに向いています。
そのため、ステーキで牛肉を食べる食べ方はアバンディーン・アンガス種により主流になったと言われています。
【アメリカ産の牛肉】ヘレフォード種
ヘレフォード種の原産地はイギリスです。ヘレフォード種は過酷な状況でも飼育できる強い品種なため、多くの地域で飼育されています。
世界三大肉用牛の一つともいわれており、見た目の特徴としては体は茶色く、頭は白い毛におおわれています。アメリカの西部劇でカウボーイが乗っている馬が、このヘレフォード種です。
【アメリカ産の牛肉】ブラーマン種
ブラーマン種の原産地はアジアです。亜熱帯地域でも飼育できるよう改良された品種であり、アメリカ南部で飼育されています。乾燥した暑い地域でも生き抜く強い生命力を持っており、背中にはラクダのような大きいコブを持つのが特徴です。
【アメリカ産の牛肉】アメリカ牛のエサ
アメリカ牛のエサは、穀物です。穀物で飼育された牛を、グレインフェッドビーフ(穀物飼育牛)と呼びます。
具体的には大豆、稲、トウモロコシ、小麦などをエサとします。これらのエサはカロリーが高いため、短期間で牛を太らせることができます。
グレインフェッドに対し、牧草で育てられた牛をグラスフェッドビーフ(牧草牛)と呼びます。グラスフェッドビーフは、牧草特有のにおいを感じる人もいますが、グレインフェッドビーフはこの独特のにおいを抑えられるとも言われています。
【アメリカ産の牛肉】アメリカ牛のランク
日本でもA5ランクなどのランク付けがあるように、アメリカ牛にもランクが付けられます。現在日本に輸入されているものは、ランクの高い順にプライム、チョイス、セレクトです。
それぞれについて解説します。
【アメリカ産の牛肉】プライム
アメリカ牛からはわずかな量しかとれない、最高級の牛肉です。サシが入っており、味わい、ジューシーさ、柔らかさという全ての観点から高い品質を誇ります。多くの高級レストランではこのプライム肉が使われることが多いです。誕生日や記念日など、特別な日に向いている高級なお肉です。
【アメリカ産の牛肉】チョイス
最高級のプライムに比べるとサシは少ないですが、高級な部類に入るお肉です。アメリカ牛の半分以上がチョイスのランクであり、日本で一番食べられているのもこのチョイスランクの牛肉です。
サシ、味わい、ジューシーさが適度で美味しいお肉であり、プライムよりも安価であることから全てのバランスが良いランクのお肉です。
【アメリカ産の牛肉】セレクト
プライムやチョイスと比べるとサシが少なく、赤身の部分が多いお肉です。ヘルシー志向のひとにオススメなランクです。また、値段もプライムやチョイスと比べて安いため、手に入りやすいのも嬉しいポイントです。
アメリカの牛肉と日本産の牛肉の違い
アメリカ牛と日本の牛肉はどう違うのでしょうか。日本の牛肉の種類や特徴、ホルモン剤投与、サシの違いについて解説します。
日本の牛肉の種類
日本の牛肉は国産牛と和牛に分類されます。それぞれについて解説します。
国産牛
国産牛とは、日本で3か月以上飼育された牛のことを言います。また、これまでに飼育された期間が一番長いのが日本であれば国産牛です。そのため、原産地が日本でなくても国産牛と呼ばれます。
和牛
和牛は、日本独自の基準で交配、肥育された牛であり、厳しい基準をクリアした牛肉だけが和牛を名乗れます。和牛には厳しい定義があるのが国産牛と違う点です。和牛は黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種に分けられます。
日本の牛肉の特徴
国産牛も和牛も、日本独自の飼育方法によりラクトンと呼ばれる香り成分が豊富に含まれます。ラクトンは甘い香りがしますが、特に加熱調理をしたときにその香りを存分に味わうことができます。
そのため、すき焼きやしゃぶしゃぶ料理にとても合うと言われています。また、日本人はサシを好む人が多いため、国産牛、特に和牛はサシが多いのが特徴です。特に黒毛和種は高級なブランド牛が多く、見た目からしてサシがたっぷりなのが分かります。
ホルモン剤投与による違い
日本では牛にホルモン剤を投与するのは禁止されています。アメリカでは禁止されていないため、一定量肥育ホルモン剤を投与しています。
そのため、お肉にもホルモン剤が残っている場合があります。
サシの違い
日本人はサシを好むので、国産牛や和牛にサシが多いのに比べ、アメリカでは赤身を好む人が多いです。そのため、国産牛や和牛に比べてサシの量は少ないと言われています。
アメリカ産の牛肉を使ったレシピ
アメリカ牛を使った美味しいレシピを紹介します。
アメリカ産牛のステーキ
スーパーに売っているステーキ用のアメリカ牛は、国産牛や和牛と比べサシが少なく、硬い肉質の物が多いです。しかしひと工夫をすればとっても柔らかくジューシーなステーキになります。
まず、玉ねぎとパイナップル、もしくはキウイをすりおろして混ぜ合わせておきます。その中に、ステーキ用のアメリカ牛を入れ漬け込みます。
玉ねぎとフルーツに漬け込むことにより、酵素の働きで少し硬めのステーキ肉でも柔らかくしてくれます。冷蔵庫で一晩漬けこみましょう。
全体がつかるように、ひっくり返すことを忘れないようにしましょう。焼く30分から1時間くらい前に取り出し、玉ねぎやフルーツなどは取り除き水分を拭いておきます。
玉ねぎやフルーツなどが残っていると、糖質が高いため焦げ付きやすいためしっかりと拭き取るのがポイントです。焼く直前に塩こしょうをしたら、フライパンを温め強火で焼きます。
火が通ったら完成です。塩こしょうだけでシンプルに食べるのも美味しいですし、醤油、みりん、酒などで照り焼き風のソースを煮詰めてかけても絶品です。
アメリカ産牛のチャーハン
あっさりとしたアメリカ牛の特徴を生かしたチャーハンがオススメです。フライパンにゴマ油をひき、細かく切った玉ねぎ、ピーマン、一口大に切ったアメリカ牛を炒めます。
塩こしょう、焼肉のタレで味付けしたら一度取り出しておきます。再びフライパンにごま油をひき、ネギ、卵、ご飯を炒めます。取り出しておいた玉ねぎ、ピーマン、アメリカ牛を戻し、キムチを入れてさらに炒めます。塩こしょうで味をととのえたら完成です。
焼肉のタレを使うことで簡単に、うま味たっぷりのチャーハンが出来上がります。キムチを入れることで韓国風のピリ辛になり、寒い冬にもぴったりです。
アメリカ産牛のしぐれ煮
アメリカ牛は、和風の味付けも合います。ごぼうと玉ねぎを使った、ご飯に合うアメリカ牛のしぐれ煮を紹介します。ごぼうはささがきにして水にさらし、アクを抜いておきます。玉ねぎは細切りにしておきます。
フライパンにごま油をしき、玉ねぎ、ごぼうを炒めます。弱火にしてしんなりするまで蓋をして蒸し焼きにします。
細切りにしたアメリカ牛を加えて炒め、出汁、みりん、酒、醤油で味付けします。水分がとんだら完成です。そのままご飯のおかずとして食べてもいいですし、ご飯を盛った上にかけてどんぶりとして食べるのもオススメ。
お好みでごまやねぎ、七味唐辛子などの薬味をかけても美味しいですし、温泉卵を加えても合います。ご飯が進むこと間違いなしのおかずです。
アメリカ産牛のカツ
赤身の多いアメリカ牛は、カツとして揚げ物にしてもさっぱり食べられます。ステーキ用のアメリカ肉をたたき、筋を切っておきます。筋を切ることで、揚げた時に肉が反るのを防ぐことができます。小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけたら170度に熱した油で揚げます。
きつね色にこんがり揚がったら完成です。ベビーリーフやクレソンなどお好みの野菜を添え、お好みのソースをかけたら完成です。ウスターソースだけでも美味しいですし、よりさっぱり食べたい人にはおろしポン酢で作ったソースがオススメです。
アメリカ産牛に関するまとめ
アメリカ牛は、放牧されており、エサは穀物で育てられている牛です。日本に輸出されているのはプライム、チョイス、セレクトのランクに入るお肉です。日本の牛と比べサシは少なく赤身が多いのが特徴で、肥育ホルモンを投与されて育っています。
シンプルにステーキとして食べても美味しいですし、チャーハンなどの中華風料理や、しぐれ煮などの和風料理にも合います。また、赤身が多い特徴を生かし揚げ物にしてもしつこくないため、カツにしても美味しいです。
日本の牛肉より安価で手に入りやすいアメリカ産の牛肉。見つけたらぜひ色々なレシピに挑戦してみてください。