鶏レバーが苦手な人でもおいしく食べられることで知られる白レバー。白レバーの名前は聞いたことがあっても、実際にどんなものなのか知らない人も多いのではないでしょうか。この記事では通常の赤レバーとの違いや栄養、レシピなどをご紹介します。
白レバーとは?
白レバーは、鶏が餌を食べすぎてしまったために、通常の赤レバーよりも脂肪を多く蓄えた、いわゆる「脂肪肝」のもののことをいいます。夏場に餌を食べすぎてしまった鶏から採れ、夏場以外の時期になると40分の1の確率で出るかどうかという希少なレバーです。脂肪肝というとフォアグラを思い出す方もいるかも知れませんが、フォアグラのように強制給餌をすることなく、自然に生まれるためとても貴重です。
白レバーと赤レバーの違い
白レバーと赤レバーの違いはまずその見た目が挙げられます。通常の赤レバーに比べると、白レバーは白くくすんだような色合いをしています。また、食べたときも臭みが少なく、フォアグラやあん肝などと同様に口当たりがまろやかで、舌触りもとろりとしているのが特徴です。
白レバーを食べる上で注意する点
白レバーを食べるときに気をつけたいのは、きちんと加熱して中まで火を通すことです。鶏のレバーにはカンピロバクターという細菌が付着している可能性が高いため、刺身にするなど生で食べると大変危険なためです。食中毒を起こすだけでなく、ギラン・バレー症候群を発症することがあり、四肢麻痺などの後遺障害が残る可能性があります。白レバーを食べるときはしっかりと加熱してから食べるようにしましょう。
※参照:https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/sibaura/sonota/namasyoku.html
白レバーは体にいいのか?肝臓に悪いのか?
よく「肝臓が悪い人はレバーを食べるといい」という話を聞きます。これは悪いところを同じ部位を食べると良いという、東洋医学の「同物同地」という考え方からくるものですが、医学的に考えた場合注意が必要です。確かにレバーは栄養価の高い食べ物ですが、鉄分が豊富な白レバーを食べすぎると、嘔吐や下痢、腹痛などを起こすことがあり、数日後には肝障害が出る場合もあります。
他にも白レバーに豊富に含まれるビタミンAも、過剰摂取すると髪の毛が荒れて部分的に脱毛したり、唇がひび割れたり皮膚が乾燥して荒れるほか、ひどくなると肝障害が起きる場合もあるため、いずれにしてもたくさん食べるのはおすすめできません。
白レバーが含む栄養素の効能とは!?
白レバーは通常の赤レバーと同様に、貧血に役立つ鉄分や、目や皮膚の粘膜を守るビタミンA、エネルギーの代謝に役立つビタミンB群、ホルモンの合成などに必要な亜鉛などの栄養素が豊富に含まれています。ただし、赤レバーと違って脂肪分が高いため、食べ過ぎには気をつけるようにしましょう。
白レバーが使われるレシピ
白レバーは和風から洋風までさまざまな調理法で楽しむことのできる部位です。ここでは白レバーを使った料理のレシピをご紹介します。
焼き鳥
柔らかくてびっくり 鶏レバーの串焼き
材料
鶏レバー
1パック(4羽分)
酒
大2
■ たれ
※酒
大2
※さとう
大1
※みりん
大2
※しょうゆ
大2
■ 竹串
■ 七味唐辛子
作り方
1 鶏レバーは軽く水洗いして、厚手の鍋に入れる。(何も切らずにそのままです。血抜きも必要ありません)
2 レバーに、しっかり水がかぶる量の水を入れて、酒も入れ、弱火にかける。
3 沸騰させないように、鍋から目を離さないようにする。
4 あくが出てくるので、取り除く。(沸騰させないで)
5 沸騰する寸前に蓋をする。蓋が、カタカタいったら火を止める。(蓋をしたらすぐいいます)
6 そのまま5〜6分余熱で火を通す。
7 この間に、小鍋にたれの材料を入れて火にかけ、さとうを溶かすくらいに煮ておく。
8 レバーを鍋から上げて、大きめに切る。あまり小さく切ると、せっかく柔らかいのが後で焼いた時に固くなってしまいます。
9 心臓は半分に切る。心臓の中にある血が嫌ならここで取る。(私は気にならないのでそのままです)
10 竹串にさす。(柔らかいので、小さく切ると串に刺しにくいので注意)
11 フライパンに油小1を熱し、強火でレバーを串ごとさっと炒める。(軽く焦げ目がつくと美味しいので)
12 たれを加えて、からめるように、さっと炒めたら出来上がりです。長く焼くと固くなるので注意してね。
13 器に盛って、お好みで七味をかけていただきます。
フォアグラ
鶏レバーのフォアグラ風ソテー
材料・2人分
鶏レバー(ハツ・モツ) 150g
塩胡椒 少々
薄力粉 適量
バター 20g
にんにく(薄切り) 1片分
A:赤ワイン 大さじ4
A:濃口醤油、はちみつ 各大さじ2
付け合せの野菜 お好みで適宜
作り方
1 レバーに塩胡椒を振って、薄力粉をまぶす。
2 フライパンにバターを溶かし、にんにくを炒める。香りが出てきたら1のレバーを入れて程よい焼き色がつくように弱めの中火で両面をソテーする。※レバーがはねやすいのでやけどに注意!
3 レバーに火が通ったらお皿に取り出す。
4 レバーを出した後のフライパンに混ぜ合わせたAを加えて弱火にかけ、とろみがつくまで煮詰める。
5 器に盛り、ソースをかける。
パテ
絶品!白レバーパテ
材料
鶏白レバー(なければ普通のレバーで) (血、筋、脂などをとった後で)
350グラムほど
バター
大さじ4
玉ねぎ
1/2個(100g)
セロリ
1/2本(40?50g)
にんにく
1かけ
フレッシュタイム
2本
月桂樹の葉
2枚
塩
小さじ3/4
コニャックなどのブランデー
大さじ2
赤ワイン
大さじ1
マデラ酒 (マデラ酒がない場合はポルトワイン、もしくは赤ワインで代用可)
大さじ1
胡椒
適量
牛乳(臭み取り用)
適量
作り方
1 レバーを流水で良く洗いながら血や脂や筋を取り除く。
2 牛乳に1時間ほど漬けて臭みを取り、キッチンペーパーで水気を拭く。
3 鍋にバター(レシピ分量の半分の)大さじ2を溶かす。
4 粗みじん切りにした玉ねぎ、セロリ、にんにくを鍋に入れ、柔らかくなるまで炒める。
5 水気をふいたレバーと、塩、胡椒を加え、レバーの色が変わるまで炒める。(炒めすぎない)
6 レバーの色が変わったらコニャック、赤ワイン、マデラ酒を加え、タイムと月桂樹の葉を加え、水分がほとんどなくなるまで煮る。
7 水分がなくなったら火を止め、タイムと月桂樹の葉を取り出す。
8 フードプロセッサーに入れ、分量の残りのバター大さじ2も加え、ペースト状にする。必要であれば塩胡椒で調える。
9 保存容器に入れ、プラスチックラップなどで表面を覆い、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れ、冷やし固める。
10 1週間以内に食べきる。食べきれない場合は冷凍保存も可。小分けに瓶に詰めると良いでしょう。(写真は冷やし固める前です)
ムース
元ホテルオークラ総料理長が教える「レバームース」レシピ
【材料】(2~4人分)
鶏レバー200g、牛乳適量、白ワイン大さじ2、バター30g、カレー粉小さじ1/4、塩・こしょう各少々、はちみつ小さじ1、生クリーム大さじ1、パン適宜
【作り方】
1 レバーは筋と黄色い部分を取り、ひたひたの牛乳を注いで冷蔵庫に一晩おきます。※牛乳に浸けることでくさみが取れます。
2 レバーをざるに上げて水気をきり、耐熱容器に入れて白ワインをふります。
3 蒸し器に入れ、5〜10分蒸して火を通します。※火を通し過ぎないよう注意! 5分ぐらいから様子をみて、火を止めます。
4 蒸している間にボウルにやわらかくしたバターを入れて混ぜ、カレー粉を加えて混ぜます。
5 はちみつ、塩、こしょうを加えてなめらかにのばします。
6 3に火が通ったら、取り出して裏ごしします。※これがなめらかにするポイント。少し面倒でもていねいに!
7 5に6を加えてよく混ぜます。
8 生クリームを加えてさらに練ります。
9 器に盛り、パンを添えます。
白レバーに合う味付け
パテやムースにして食べることが多い白レバーですが、シンプルに焼いたものや、さっと湯通ししたものなどを食べるなら、どんな調味料が合うでしょうか。ここでは家庭で手軽に用意できる、白レバーに合う調味料をご紹介します。
ポン酢
さっとゆでて火を通した白レバーのとろりとした食感によく合うのがさっぱりとしたポン酢です。万能ねぎを小口切りにしたものを合わせてみたり、青じそや白いりごまなどを足してもおいしくいただけます。
バルサミコ酢
シンプルにソテーした白レバーを食べるのなら、フォアグラのソテーに添えられることの多いバルサミコ酢を煮詰めたソースでいただくのがおすすめです。フライパンにバルサミコ酢と醤油、はちみつをそれぞれ大さじ1杯ずつ入れて煮詰めたものを焼いた白レバーにかけていただきます。一緒にいちじくなどを添えていただくのもおすすめです。
マーマレード
フォアグラに果物を合わせることが多いように、白レバーにも果物のジャムなどがよく合います。特に柑橘類のマーマレードは、ふんわりとしたムースやパテにしたときに添えると、マーマレードのほろ苦くさわやかな風味が、白レバーの味わいを引き立ててくれます。マーマレードの他にブルーベリージャムなどもよく合うので、たくさん作ったムースやパテを食べ飽きてしまったら、味変にもなるので試してみるのがおすすめです。
まとめ
とろけるような食感とまろやかな口当たりがおいしい白レバー。通常の赤レバーと同様にきちんと中心まで火を通すように気をつける必要はありますが、調理のコツをつかめば、手軽にフォアグラのような贅沢で豊かな味わいを楽しむことができます。白レバーが手に入ったらぜひ好みの調理法で味わってみてください。