日本では珍しいお肉として知られる馬のレバーは、唯一生で食べられる食材として注目を集めています。その食べられる理由や、馬レバーの安全性について疑問を抱く方も多いことでしょう。馬レバーがなぜ生で食べられるのか、馬と牛のレバーとの違い、そして馬レバーに含まれる栄養価などについて、この記事では徹底解説していきます。
また、馬レバーの食感や味わい、おすすめレシピもご紹介し、馬レバ刺しを楽しむための情報をお届けします。
馬レバー、馬レバ刺しは安全?
馬の生レバーの摂取は厳しく規制されていないことになります。その背景にあるのは、生レバーに食中毒を引き起こす細菌がほとんど存在しないからです。馬の体温は他の家畜よりも高く、細菌にとっては居心地が悪く、生き残ることができないという特性があります。このことから、食中毒にかかる危険性はほとんどありません。馬刺しにも、生食に関する基準が存在しています。
牛のユッケと同じく、販売するには加工や調理に特化した施設の整備や、厳格な温度管理などの細かい条件をクリアする必要があります。加えて、保健所の審査をパスすることも必要です。政府は馬肉の安全性を高く評価し、生レバーを心配することなく合法的に食べることができるとみなしています。
馬レバーはなぜ生で食べられるのか?
馬のレバーは安全な食材として知られており、飼育中に抗生物質やホルモン剤が使用されないことがその理由の一つです。また、体温が高く寄生虫が少ないため、安心して食べることができます。
牛の肝臓の生食は規制されている一方で、なぜ馬のレバ刺しは規制されていないのでしょうか。以下では詳細に説明していきます。
馬レバーは大腸菌O157の心配はないのか
腸管出血性大腸菌O157は、強力なベロ毒素を生成する一種の大腸菌です。馬の体温は37~38度と高く、これは牛や豚の体温よりも5~6度高くなっております。 馬の高い体温のため、O157は生存が困難であり、2011年に厚生労働省が公表した「生食用食肉(牛および馬)の危険性評価(案)」により、馬からO157が検出されなかったことが明らかにされました。 O157の危険性がほとんどないことは、生食する際の安全性にとって非常に重要な条件と言えます。
馬レバーと牛レバーの違いは何ですか?
牛のレバーはリッチな舌触りを持つ一方、馬のレバーはプリプリとした食感が特長です。牛や豚のレバーと比べても、独特のクドさやレバー特有の臭いが軽減されており、初めて挑戦する方でも抵抗なく食べることができます。現在、どこに行っても牛のレバー刺しは入手困難となっており、その代わりに馬のレバー刺しの人気が高まっています。
馬レバーに含まれる栄養価は?
ここでは馬レバーなどの馬肉に含まれている栄養価について解説していきます。
牛や豚、鶏などとの比較
100グラムの馬肉には、他の肉と比較してどれだけ栄養素が含まれているかご紹介いたします。こちらが1食分の馬肉中の栄養素を一覧になります。
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 鉄分 | |
馬肉 | 110kcal | 20.1g | 2.5g | 4.3mg |
牛肩ロース | 318kcal | 16.2g | 26.4g | 0.9mg |
牛レバー | 132kcal | 19.6g | 3.7g | 4.0mg |
豚肩ロース | 253kcal | 17.1g | 19.2g | 0.6mg |
豚レバー | 128kcal | 20.4g | 3.4g | 13.0mg |
鶏むね | 116kcal | 23.3g | 1.9g | 0.3mg |
馬肉は、鶏むね肉のようにヘルシーであり、牛肉や豚肉の半分以下のカロリーや脂肪を含んでいます。さらに、生で食べることができるため、調理用油を使わずに健康的に食べることができます。馬肉には人体が生成できない必須脂肪酸が含まれており、コレステロール値を下げ、血液循環を改善する働きがあります。また、たんぱく質が他の肉よりもやや豊富なので、低カロリーで高たんぱくのダイエットを行っている人に好まれるお肉です。
更に、牛肉の約3倍のグリコーゲンが含まれており、肝臓に蓄積されエネルギー源として活用されるため、アスリートの食事に適しています。また、馬肉にはレバーと同等の鉄分が含まれており、鉄分不足を補うのに効果的な食材と言えます。
グリコーゲンが豊富
体は食べ物から摂取した糖を主要なエネルギー源として利用しています。グリコーゲンは疲れた脳や体を回復させ、血糖値を正常に保つ役割を果たす糖質です。また、他の糖質よりも脂肪になりにくい特性があり、積極的に消費されるため、嬉しい特徴です。馬レバーには顕著な量のグリコーゲンが含まれており、肉の中では豊富な栄養価を誇っております。
ダイエットやトレーニング中の方に特に適しており、カロリーや脂質も低いためおすすめです。
馬レバーの下処理方法は氷水で解決
馬レバーは真空パックのまま氷水につけずに解凍するようにしましょう。氷水にたくさんの氷を入れ、ゆっくりと解凍することで、ドリップを最小限に抑えて解凍することができます。冷蔵庫や流水での解凍方法もありますが、多くのドリップが出る可能性があるため、おすすめしません。肉から出る赤い汁であるドリップには、お肉の旨みや栄養が凝縮されています。解凍のポイントは、このドリップをできるだけ出さないことにあります。
また、馬レバ刺しは解凍が速い部位なので、やや短めに解凍することをお勧めいたします。その際には、完全に解凍するのではなく、中心に芯が残る程度の半解凍にすること忘れないようにしましょう。
馬レバーはまずい?馬レバーのおすすめレシピ紹介
馬のレバ刺しは、牛肉のレバーと同じく、薄くスライスして食べます。馬肉の赤身部分は、少し甘い醤油ベースの馬刺し用のたれをつけて食べましょう。レバ刺しも同様に美味しいですが、最もおすすめなのは塩とごま油を付けて食べる方法です。ごま油をまとったレバ刺しは、香ばしいごまの風味が漂います。馬のレバ刺しは、プルンとした滑らかな口当たりが特徴ですが、ごま油を加えることで更に表面が滑らかになり、口の中へ吸い込まれるかのようにいただけます。
馬のレバ刺しは歯ごたえがあるため、そこにシンプルな塩を加えることで、一口ごとにレバーの旨みが引き立ちます。スライスした玉ねぎや大葉などの薬味で巻いていただくのも、非常に美味しい食べ方です。野菜のシャキシャキとした食感が、レバ刺しの口溶けの良さを際立たせます。塩とごま油だけのシンプルな食べ方から、野菜の甘みや香りも感じられ、箸が止まらない美味しさとなるでしょう。
馬レバ刺しに合うたれ
ここでは馬レバ刺しに合うたれについて紹介していきます。
ごま油
馬レバ刺しは、馬肉の赤身の部分をスライスして食べる料理であり、その美味しさを引き立てるたれが重要です。馬レバ刺しには、一般的には醤油ベースの甘めのたれが使われますが、ごま油を加えることでさらに風味豊かな味わいを楽しむことができます。ごま油は、香り高くコクのある油であり、馬肉の旨みを引き立てる効果があります。
馬肉とごま油の相性は抜群であり、馬レバ刺しにごま油を加えることで、より深い味わいを楽しむことができます。また、ごま油には健康に良い脂質が含まれており、栄養価も高いため、馬レバ刺しをより美味しく楽しむことができます。
生姜のすりおろし醤油
馬レバ刺しに合うたれにおける生姜のすりおろし醤油について解説します。馬肉のレバーは独特の風味と食感がありますが、食べる際には適切なたれが重要です。生姜のすりおろしは、馬レバ刺しのたれにおいて重要な役割を果たします。生姜には爽やかな香りと辛みがあり、馬肉のクセを抑える効果があります。
また、生姜には消化を助ける効果もあるため、馬レバ刺しを食べる際に生姜を組み合わせることで食べやすくなります。醤油と生姜を組み合わせることで、馬レバ刺しの旨みを引き立てつつ、さっぱりとした味わいに仕上げることができます。
玉ねぎスライス
馬刺しの風味を際立たせるためには様々な薬味が活かされます。 特に霜降り部位との組み合わせは、味わいを一層深くします。 玉ねぎのシャキシャキとした食感は馬刺しの甘さを引き立て、絶妙な調和をもたらしてくれるでしょう。
まとめ
馬のレバ刺しは食べられるのか、その理由などを徹底的に解説しました。馬のレバーは安全な食材として知られており、飼育中に抗生物質やホルモン剤が使用されないことがその理由の一つです。また、体温が高く寄生虫が少ないため、安心して食べることができます。牛や豚のレバーとの違いは、馬のレバーがより滑らかで繊細な味わいを持っている点です。栄養価も豊富で、鉄分やビタミンB群が豊富に含まれています。
馬のレバ刺しは、その特有の味わいと栄養価の豊富さから、食卓に新しいアクセントを加えることができる一品です。安全性が高く、美味しさを楽しめる馬レバ刺しは、料理のバリエーションを広げる上でおすすめの食材と言えるでしょう。ぜひ、馬のレバ刺しを通じて新しい食の世界を体験してみてください。