牛肉のサガリはどこの部位のこと?美味しい焼肉の仕方・おすすめレシピをご紹介

牛肉のサガリはどこの部位のこと?美味しい焼肉の仕方・おすすめレシピをご紹介

サガリは、牛一頭から1本しか取れない希少部位のひとつです。
部位名は聞いたことがあっても、実際どの部位なのか、把握されていない方が多いでしょう。
こちらの記事では、サガリの特徴や部位、おすすめの調理法をご紹介します。

この記事を読むとわかること

希少部位であるサガリを更に美味しくいただける「部位や特徴」「美味しい焼き方」「おすすめのレシピ」がわかります。

シンプルに焼くだけでもいただけますが、サガリの特徴を踏まえてひと手間を加えると、食卓が豊かになるでしょう。

焼肉のサガリについて

実際どの部位なのか、なぜ「サガリ」と呼ばれるようになったのか、隣接部位のハラミとは何が違うのか、サガリには気になる点が多いでしょう。

海外のサガリやハラミに関する認識も合わせてご紹介します。

サガリの部位

サガリは内臓部位で、横隔膜にあたり、人気部位のハラミと隣接しています。

ハラミは牛一頭から2本取れますが、サガリは1本(約1キログラム)しか取れないため希少部位として扱われています。

どちらも肉質のやわらかい赤身ですが、ハラミより脂が少なくヘルシーで、やわらかな食感をしているため、特に女性に人気です。

100グラムあたり283カロリーと低カロリーで、糖質は0グラム、脂質は22.6グラムと、とてもヘルシーです。

タンパク質、カリウム、ビタミンB1、ビタミンB2、Lカルチニンなどが含まれているため、ダイエット中の方にもおすすめです。

一般的なスーパーマーケットなどではあまり扱われていませんが、高級スーパーマーケットやオンラインショッピングで購入できます。

ハラミとの違い

サガリは、隣接部位のハラミと混同されやすかったり、国や地域によって呼び名が違ったりします。

サガリもハラミも横隔膜についていて、サガリは腰椎側の筋肉、ハラミは肋骨側の筋肉を指します。

牛ハラミは、厚みが薄く、細長い形をしているため、やわらかい食感をしています。

メンブレンと呼ばれるスジ肉の延長にあるので、表面に膜がついていることもあります。

サガリは、2本の筋肉が中央の厚いスジを挟んでいる形状をしているためほど良い弾力があり、噛み応えがあります。

筋繊維の方向と形状が琵琶の葉に似ているため、「ビワハラミ」という別名を持っています。

名前の由来

横隔膜の肋骨部分にぶら下がっていることから、「下がり(サガリ)」と呼ばれています。

英語名は「Hanging Tender(ハンギングテンダー)」で、Hanging(ハンギング)は「吊るす」、Tender(テンダー)は「やわらかい」という意味です。

日本語名も英語名も同様の語源を持っています。

呼び名の違い

サガリや隣接部位のハラミは、国や地域によって呼び名が異なります。

海外

国名サガリの呼び名ハラミの呼び名
オーストラリアThick skirt

(シックスカート)

Thin skirt

(シンスカート)

アメリカHanigng tender

(ハンギングテンダー)

Outside skirt

(アウトサイドスカート)

日本サガリハラミ

オーストラリアでは、筋肉の厚みで呼び名を変えているようです。

厚みのあるサガリはシックスカート(Thick skirt)、比較すると薄いハラミはThin skirt(シンスカート)と呼ばれています。

アメリカでは、筋肉のつき方によって呼び名を分けています。

横隔膜の肋骨部分にぶら下がっている様子からサガリはHanigng tender(ハンギングテンダー)、膜の外側についている様子からハラミはOutside skirt(アウトサイドスカート)と呼ばれています。

日本も、アメリカから文化的に影響を受けているため、筋肉のつき方によって呼び名を分けています。

横隔膜の肋骨部分にぶら下がっている形状からサガリ、膜の外側についている形状からハラミと呼ばれています。

国内

地域サガリの呼び名ハラミの呼び名
北海道・東北地方サガリサガリ
本州ハラミハラミ
九州地方サガリハラミ

食肉の表示に関する「公正競争規約嗜好規則」によると、サガリは「牛サガリ(ハラミ)」と名称がついているため、サガリとハラミを厳密に分ける必要はないようです。国内でも地域により、北海道や東北地方のように両方ともサガリと呼ぶ地域もあれば、本州のようにハラミと呼ぶ地域もあります。

九州地方では、サガリとハラミは分けて呼ばれているようです。確実にサガリを購入したい場合は、アメリカやオーストラリアの呼称で探したり尋ねることを推奨します。

サガリの美味しい焼肉の仕方

サガリは、内臓部位のお肉であるため生焼け部分がないよう、表面に焦げ目がつく程度までしっかり焼くことを強くおすすめします。内臓部位のお肉は他の部位のお肉より比較的痛みやすく、食虫毒のリスクが高いです。他の部位のお肉は表面に食中毒菌がついていますが、内臓肉の場合は内部まで食中毒菌が潜んでいる可能性があるためです。焦げ目がつくまでしっかり焼くと、サガリのやわらかさや旨みが引き立ち、更に美味しくいただけます。

お肉をたたいてやわらかくして焼く

ステーキなどお肉を厚めに焼く場合は、ミートハンマーやミートテンダーライザーでお肉の繊維を切断して筋肉を破砕すると、更にやわらかさと旨みが増します。

普段は硬く感じるお肉もジューシーになり、いつも以上に美味しくいただけるでしょう。

  1. 筋肉に対して、直角に薄切りもしくは引き切りにします。
  2. 調味料を染みこみやすくするためにキッチンペーパーで水分を取ります。※タオルは新品でも雑菌が繁殖してしまうので避けた方が好ましいです。
  3. ミートハンマーでお肉をたたきます。※お肉の形を崩したくない場合は、テンダーライザーを使用してやわらかくします。
  4. お好みの調理器具で焼きます。

たんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」につけてから焼く

切り落として焼肉などにする場合、たんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」を利用した下処理をするとお肉をやわらかくできます。

たんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」が含まれる食べ物は、以下のものが代表的です。

  • キウイフルーツ
  • パイナップル
  • しょうが

しぼったり、すり下ろしたり、みじん切りにして、生肉につけて保管しておくと肉質を軟化させられます。

プロテアーゼなどの酵素は筋原繊維たんぱく質を分解する反面、結合組織のコラーゲンには作用しないため、長時間作用すると食味低下をもたらすので注意が必要です。

すり下ろしの場合

  1. しょうがやキウイなどすり下ろし、お肉にすり込むようにつけます。
  2. トレーもしくはジップロックに入れて密封し、2時間〜4時間ほど保管します。※トレーの場合、ラップは必ずしてください。
  3. 冷蔵庫から出して20分ほど置いて常温に戻してから焼きます。

輪切りの場合

  1. パイナップルなど輪切りにしてトレーに敷き詰め、その上にお肉を乗せます。
  2. すり下ろしの場合より繊維がほぐれる時間がかかるので、半日〜1日寝かせます。※トレーの場合、ラップは必ずしてください。
  3. 冷蔵庫から出して20分ほど置いて常温に戻してから焼きます。

PH域を調整する調味料でやわらかくしてから焼く

煮込み料理や炒めものの場合は、PH(ペーハー)域への配慮が鍵となります。

食肉のPHは5.6〜6.0のため、このまま加熱するとたんぱく質同士が結合して肉が締まり、肉汁が流出しやすくなります。

PHを酸性側もしくはアルカリ性に調整すると、お肉がジューシーになります。

そのため、ワインやマリネ液につけてから加熱調理すると、やわらかく風味のあるお肉になります。

また、普段よく使われる塩や味噌、砂糖やしょうゆ、料理酒などもお肉の風味を豊かにしてくれます。

サガリを使ったおすすめレシピ

希少部位のサガリは、ヘルシーながらも風味豊かで味覚を満たしてくれます。

お肉の厚みを活かしても、好みの厚さにカットしても、美味しくいただけます。

サガリを入手し、自宅で調理する際のおすすめレシピをご紹介します。

ステーキ

材料(2人分)

牛サガリ:2枚

ローズソルトか食塩:少々

こしょう:少々

バター:小さじ1

ブランデーかウイスキー:20ミリリットル

  1. お肉をたたくか、1センチメートル間隔の切れ目を入れて、繊維を崩します。
  2. 両面にローズソルトか食塩、こしょうをすり込みます。
  3. バターを溶かしてからお肉を投入し、ブランデーかウイスキーを回し入れて中火で焼いて完成です。
  4. じゃがいもやにんじんなど、お好みの野菜を添えても美味しくいただけます。

香味焼き

材料(2人分)

牛サガリ:300グラム

大葉:5枚

白髪ねぎ:適量

ごま:適量

(もみだれ)

しょうゆ:大さじ2

すり下ろしにんにく:1片

すり下ろししょうが:1片

三温糖:小さじ1

はちみつ:大さじ1

ローリエの葉:2枚

  1. お肉に5ミリメートル幅の切れ目を入れます。
  2. ジップロックにお肉ともみだれの材料を入れて揉み込み、冷蔵庫に1時間~2時間ほど保管します。
  3. フライパンで炒め、お皿にごま、大場、白髪ねぎを乗せて完成です。

デミグラスソース煮

材料(3人~5人分)

牛サガリ:500グラム

赤玉ねぎ:1個

赤ワイン:150ミリリットル

水:300ミリリットル

デミグラスソース:140グラム

  1. 鍋に、両面に細かく切り目を入れカットしたサガリ肉と、くし型にカットした玉葱、赤ワインを入れて30分前後つけ込みます。水を加えてから火にかけ、煮込みます。
  2. 途中で水分が足りなくなりそうな時は、水を足しながら肉がやわらかくなるまで弱火で煮込みます。やわらかくなったら、デミグラスソースを加えます。
  3. 焦がさないように、弱火で煮込んで完成です。
  4. じゃがいもや豆類など、お好みの野菜を添えても美味しくいただけます。

まとめ

ここまでサガリの基本的な情報や、美味しい食べ方などを中心にお伝えしてきました。

サガリは内臓部位で、横隔膜にあたり、人気部位のハラミと隣接しています。

ハラミは牛一頭から2本取れるのに対し、サガリは1本しか取れないため、希少部位とされています。

隣り合っているサガリとハラミは、海外でも国内でも呼び名の区分が厳密にはされていませんが、栄養豊富で特にヘルシー志向の方から強い支持を得ています。

また、他の部位のお肉より比較的痛みやすいため、しっかり焼くことを推奨します。

おすすめの焼き方は、以下の3つです。

  • お肉をたたいてやわらかくして焼く
  • たんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」につけてから焼く
  • PH域を調整する調味料でやわらかくしてから焼く

下準備を行えば、厚みがあるままでも、好みの厚さにカットしてもいただけるので、様々な料理の幅が広がる部位です。

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