焼肉店の定番メニューといえば、カルビとロース。
カルビとは、肋骨を意味する韓国語が語源で、肋骨周辺のバラ肉を意味します。一方のロースは、炙り焼き、蒸し焼きといった意味を持つ英語が語源で、肩から腰にかけての背肉を指しています。
しかし、焼肉屋のロースは、一般的にカルビ以外の精肉を指していることが多いですが、実は意外に複雑なのです。
ここでは、ロースの部位や違い、種類そして美味しい焼き方、調理法について紹介します。
焼肉について詳しくなりたい、ロースをもっと美味しく食べたい方には必見です。
ロースについて
ロースは、牛のさまざまな部位を総称した名称で、脂肪分が多いカルビよりもヘルシーとされ、人気があります。
しかし、消費者庁で定める「食肉小売品質基準」では、焼肉店や小売店で提供するロースとは、肩ロース、リブロース、サーロインと決まっています。
語源
焼く、蒸し焼き、炙り焼きという意味を持つ英語のローストがなまって、日本人の間では、ロースという言葉で広まったと言われています。\
ロースは「ローストに適した肉」という意味で使われているため、肩から腰にかけての部位の肉を表しています。
部位の呼び名
肩ロース、リブロースとは違うサーロインは、肋骨と骨盤間の背骨肉のロインの一部から腰肉ともいわれているため、呼び名が違っています。
しかし、海外では、「肩ロース」をチャック、「リブロース」をリブロイン、「ヒレ」をテンダーロインといわれているため、日本の名称とは異なっているのです。
ロースの種類
ロースを構成している種類は、「肩ロース」「リブロース」「サーロイン」の3種類が一般的です。
ロースは、牛の大半を占めているため希少性は少ないですが、霜降りがあり、柔らかい食感が味わえるため、全体的に価格が高めです。ここでは、ロースそれぞれの種類ごとに肉質などの特徴を紹介します。
肩ロース
首の後ろから肩、背中にかけた部位で、筋肉質で身の締まった、食べ応えのある食感を楽しめます。
また、食感だけでなく、肉本来の濃厚な味も味わえます。
脂肪分が多く霜降り、コラーゲンやうまみ成分が凝縮されているのも特徴です。
リブロース
肩ロースから続く背中の部位で、肩ロースとサーロインの中間に当たります。
サシといわれる赤身の間の脂肪分が多く、柔らかく、きめの細かい肉質が特徴です。
サーロイン
リブロースよりお尻よりの部位で、牛肉の中でも最高級の質といわれています。
サシが細かく、口の中でとろける脂の味わいとお肉の柔らかさを味わえる牛肉の王様といえる最高の部位です。
私達がよく耳にするロースは、サーロインステーキを指していることが多いようです。
ロースの美味しい焼き方
ロースの焼き方の鉄板といえばステーキですが、その美味しさを左右するのは、何といっても焼き方でしょう。コクがあり、うまみを感じやすい部位ですが、筋があるため、焼き方には注意しなければなりません。ここでは、ロースの基本的な焼き加減や美味しい焼き方を紹介します。
焼き加減
初めに、自分好みの焼き加減を知っておくことが大切です。美味しい焼き方を紹介する前に、焼き加減の目安と食感を紹介します。
レア
肉の表面に薄く焼き色がついていますが、中身はまだ生の状態がレアです。生より歯切れが良いため食べやすいが、弾力はなく、スジっぽさが残る食感があります。
ミディアムレア
レアよりは肉の表面に火が通っている状態がミディアムレアです。中味は生の状態のため、切ると肉汁が出るのが特徴です。
ミディアム
肉の表面に茶色の焼き目がつき、中身はピンク色になっている状態の焼き加減です。中心部は少しレアが残る焼き加減で、歯切れがよく、肉汁が繊維からしみ出るのが特徴です。
ウェルダン
肉の表面にはっきりと分かるほど、焼き色がつくほど焼いているため、肉の繊維から肉汁がしみ出し、中心部は膨らんでいます。指で押すと、押し返される弾力があるため、しっかりとした噛み応えが特徴です。
ロースの美味しい焼き方
ロースの美味しい焼き方は、ちょっとしたコツを押さえておくと、美味しくいただけます。それでは、美味しく焼くコツを見てみましょう。
肉を常温に戻しておく
初めに肉を常温に戻しておくことが大切です。
常温にすることで、ロース全体に均一に火が通るため、焼き始める30分~1時間前には冷蔵庫から出しておきましょう。
ドリップをふき取っておく
ロースを解凍する際に赤い血のようなさらさらとした液体が「ドリップ」です。ドリップのままで焼き上げると、肉の臭みが出るため、キッチンペーパーなどでしっかりとふき取っておくことが大切です。
筋切りしておく
焼き上げる際に肉の繊維の縮みや反り返りがあると、食べた時に筋が残ることがある。
事前に筋にそって切り目を入れることで、食感がよい仕上がりになる。
塩、胡椒の調味料は焼く直前に
特に塩を早めにふりかけると、水分が表面に出てしまうため、肉質が固くなってしまうので、塩や胡椒は焼く直前にふりかけることも大切です。
表面は一気に焼き上げる
フライパンにサラダ油を入れて事前に加熱しておき、強火で一気に焼き上げれば、柔らかく仕上がります。
注意しておきたいのは、焼き加減に合わせて、中心まで加熱しすぎないように、表と裏側を交互に短時間で焼き上げるのがコツです。
好みの焼き加減に合わせた仕上げ
肉の表面から水分が出ればアルミホイルで包み、ご自分の好みの焼き加減になるまで余熱します。
ただし、焼き加減をレアにしたい場合は、アルミホイルに包まずにフライパンの余熱で1分置き、ウェルダンを好む場合は、強火で加熱後、すぐに弱火にし、2~3分焼くのがポイントです。
(レア、ウェルダン以外の焼き加減)
- ミディアムレアの場合・・アルミホイルに包んで、2~3分、余熱する
- ミディアムの場合・・・・アルミホイルに包んで、5分程度、余熱する
ロースの調理法
良質なロースを手に入れたなら、焼き肉専門店のように美味しくいただきたいものです。
ただし、いざ調理しようとしても、美味しく調理できない場合もあるでしょう。
ここでは、ご家庭でもできる美味しいロースの調理法をご紹介します。
焼肉店でいただくお肉とは別の楽しみ方が見つかりますよ。
おすすめの調理法
厚切りはロースを味わうためには、最もスタンダードな切り方です。
しかし、さらにうまみを感じるためには、厚切りより薄切りの方がうまみを感じやすくなります。
特にすき焼き風にして煮込んだ炒め物は薄切りとの相性がばっちりです。
また、野菜に巻いて焼く食べ方もおすすめです。
にんじんやごぼうなどたっぷりの野菜に巻いて焼けば、栄養満点です。
ここではロースを手軽に作れる調理法を紹介します。
サンドイッチ
サンドイッチは、ランチやちょっとした外出先で食べられるので、おすすめです。
高級なロースを買わなくても、スーパーなどに売っている食材でも自分好みの味付けができるのも
楽しみの1つです。
(用意する食材)
- 市販のロース肉
- パン2枚
- レタス・トマト・玉ねぎ(お好みで)
- 生わさび
- 醤油
- みりん
- オリーブオイル(お好みで)
(作り方)
- トマトや玉ねぎや薄くスライスする
- レタスは食べやすい大きさにカットする
- ロースは薄切りしておく
- 生わさびと醤油、みりん、オリーブオイルを好みに合わせて混ぜ合わせておく
- パンを焼き、レタス、トマト、玉ねぎ、ロースを重ねる
- 混ぜ合わせたソースを具材にかけ、パンで挟んで、出来上がり
スーパーで売っているロースの調理法(その1)
値段の高い肉ではなく、近所のスーパーや肉の小売店で売っているロースを上手いステーキにする方法です。
下ごしらえは、ロースの美味しい焼き方で紹介した方法で行い、焼き上がるまでの手順で準備しておきます。
(用意する食材)
- 厚さ1センチ程度のロースステーキ肉
(用意する調味料)
- バター
- 市販のステーキソース
(作り方)
- フライパンにサラダ油を適量入れ、中火で加熱しておく
- 下ごしらえが終わったロースステーキをフライパンに置く
- ステーキの上にバターを乗せて、ふたをする
- 焼き目がつく程度(約1分に中火で、肉の表と裏を交互に焼く
- ステーキに市販のステーキソースをかけて、出来上がり
スーパーで売っているロースの調理法(その2)
少しお高い分厚いロース肉を上手いステーキにする方法です。
厚さ1センチのロースステーキとは少し異なる調理法なので、注意してください。
(用意する食材)
- 厚さ3センチ程度のロースステーキ肉
(用意する調味料)
- 牛脂
- 塩、胡椒
- わさび
- 醤油
(作り方)
- 冷蔵庫から出して常温まで戻す
- 筋切りはしない
- 塩と胡椒をお好みに応じて表面と裏面ふりかける
- フライパンに牛脂を入れ、中火が加熱しておく
- ロースをフライパンにおく
- ふたを閉め、表面と裏面を交互に約3分焼き上げる
- ロースをアルミホイルで包み、フライパンの余熱で10分程度置く
- アルミホイルを外し、皿に移し替える
- わさびと醤油を混ぜ合わせ、ソースを作る
まとめ
この記事では、ロースの美味しい焼き方や調理法を紹介しました。焼肉店で食べるロースは格別ですが、ご家庭でもフライパンを使った焼肉は簡単にできます。
特に、ご家族の誕生日などの祝い事やピクニックなど、さまざまな場所で喜ばれるお肉です。焼肉店の特製ソースを真似るのは難しいですが、ご自分の好みに合った焼き方やソースを作り、楽しむことはできます。焼肉は焼肉店で食べると思われている方でも、時には、近所のお肉屋さんなどで購入し、ご家庭で工夫しながら調理すれば、美味しく食べられます。
ご家族が揃う日には、一度、手軽にロース焼肉パーティーを考えてみてはいかがですか。ますます、焼肉が好きになりますから。