牛肉の部位の内、ミスジという肉とはどの部位にあたるか
今回ご紹介するミスジは肩に含まれる部位となります。ロース、バラ、モモなどは比較的有名部位が多く知っている方も多いかと思いますが、肩のお肉を焼肉店やスーパーで見かける機会は多くないかもしれません。見かけても購入に至る方はあまりいないのではないでしょうか。
ミスジは肩甲骨の裏あたりに位置しており「ウデ肉」「肩肉」と言われる部位になります。下記画像では肩の一部にミスジがかかっています、なので肩肉の一部として扱われますが他の肩肉より柔らかさや霜降りの入り方が違うため特別な部位として認識されています。
牛肉・ミスジの特徴
ミスジの知名度はさほど高くはないでしょうが、牛肉の中では希少価値が高く綺麗な霜降りも入っている高級部位です。焼肉店で提供されたりスーパーでの販売価格も他の肩肉やモモ肉と比較すると高価格となっています。
ミスジは柔らかくて食べやすいお肉でステーキ、焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶ、ローストビーフ、肉寿司など様々な料理に使用できる万能なお肉です。
他の肩肉やモモなどの赤身肉と比較すると高価格ですが同じような霜降り肉のサーロイン、リブロース、肩ロース、ザブトン、特上バラなどと比較するとお求めやすい価格となっています。
語源や別称
ミスジ(三筋)と言われる語源は上下と真ん中に3本の筋が入っているからです。上下の筋はスーパーで提供される時などは取り除かれていることが多いのですが、真ん中の筋は取り除かれていないことがほとんどで見た目でも判断しやすいでしょう。
羽子板の形に似ていることから「ハゴイタ」とも呼ばれるそうですがスーパーや飲食店でそのように表記されているのは珍しく「ミスジ」が一般的と言えるでしょう。
見た目
こちらがステーキ用にカットされたミスジになります。真ん中に特徴的なスジが入っているのが分かると思います。真ん中のスジは柔らかいためそのまま焼いて食べても問題ないでしょう。
こちらが焼肉用にカットされたミスジです。ミスジは場所により筋の太さが違うため筋の太さは一定とはならないです。
この2枚の写真からも分かるようにミスジは綺麗な霜降りが入っているお肉となります。輸入牛、国内産牛(ホルスタイン種)、黒毛和牛など種類により霜降りの度合いは変わってきますがサーロインと同じくらいの霜降りがあると認識してもらうとわかりやすいと思います。
肩肉は赤身肉として分類されていますがこのミスジだけは霜降りが入っているため肩の中でも特別なお肉であると言えます。
味の特徴
牛肉の柔らかさは運動量が多いと筋肉質で硬く、運動量が少ないと柔らかいものになります。
肩から腕にかけては牛もよく動かす運動量が多い部位になるので硬いのが一般的ですがミスジは肩甲骨付近の中でもあまり動かさない部位であるため柔らかいお肉と言えます。
食感はヒレやサーロインとは異なる独特の柔らかさがあり風味は濃厚と言えるでしょう。
牛1頭からどれくらいとれるか
1頭から1〜4kg程度しか取れない非常に希少価値の高いお肉と言えます。
牛肉は1頭が700kgの場合、おおよそ310kgの肉と150kgの内蔵が取れます、
他は脂、皮、骨などです。
ミスジは同じ牛1頭の中でも筋の太さや霜降りの入り方が違うため綺麗な霜降りで筋が薄くステーキや焼肉で提供できる部位はミスジの中でも半分くらいしかありません。筋があまりにも太いところは真ん中の筋も除去してカットするためミスジらしさが失われ普通のウデ肉と同じような見た目になってしまうためミスジとして提供することは困難になります。
カロリーなどの栄養
カロリーは100g/200kcalで他の部位と比較するとやや高めと言えます。肩肉は赤身肉に含まれるためミスジも赤身肉の奥深い風味もありながらも綺麗な霜降りも入っているためカロリーはやや高いです。
他の霜降り肉と比較すると低カロリーと言えますのでバランスよく栄養面と贅沢の両方を求める方には良いと言えそうです。
牛肉・ミスジの美味しい食べ方は
焼き方
ミスジは綺麗な霜降りが入っていますがあくまでも赤身肉の分類です、他の赤身肉同様に焼きすぎるとパサパサになり食感も硬くなるので焼き加減が非常に重要になるお肉です。
焼肉として食べる場合はレアがオススメです。
おすすめの焼き方は以下の通りです。
- 片面を中火から強火で20秒ほど火を通し、焼き色をつける。
- もう片面も20秒程度に軽く焼く。
※監修:ミシュランシェフ 水口一義 氏
解説動画
食べ方
ミスジは濃厚な風味なのでステーキで食べる場合は味付けは塩・胡椒やわさびなどあっさりしているものがオススメと言えま。
焼肉の場合は薄くスライスして提供されているか普通の焼肉カットで提供されているかで風味が変わってきます、薄くスライスしてある場合は味付けは薄めに、通常の焼肉カットであれば焼肉のタレで濃いめの味付けでも美味しく食べることができます。
料理
『ステーキ』
黒毛和牛であればサーロインやリブロースと同等の霜降りがありとろけるような柔らかさを実感できます。その他の国産牛でも1㎝くらいの厚さでカットされているステーキであれば問題なく食べることができるでしょう。
輸入牛もスーパーなどで提供されている場合があり安価で赤身と霜降りのいいとこ取りができるステーキとして購入してみるのもおすすめです。
焼き加減さえ注意して調理すればステーキとして美味しく食べることができるでしょう。
『焼肉』
高級焼肉店や品揃え豊富なスーパーで提供されています。薄くスライスしている場合と通常の厚さにカットしてある場合では食感が異なるため、同じ部位でも様々な厚さで楽しめるのがポイントです。
価格は霜降りが多い特上のバラカルビやザブトンに比べると比較的低価格で提供されており、脂っこさも少し控えめであることからコッテリしたお肉を少しお得に食べたいと考えている方にはおすすめと言える部位ではないでしょうか。
『ローストビーフ』
一般的には赤身肉を使って調理することが多いローストビーフですが霜降り肉でも調理は可能です。ミスジは赤身肉の一部ですが霜降りもしっかり入っているためモモ肉で調理するよりも食感は柔らかくなりますが、胃もたれの原因にもなりますので適量で調理することをオススメします。
高級店で提供される非常に柔らかいローストビーフはサシが多いお肉を使用していることが多いため高級店で食べるようなローストビーフを家庭で再現する場合などにはミスジで調理してみるとより再現性は高くなるのではないでしょうか。
ただ、真ん中に筋が入っているため好みは分かれるかもしれません。ローストビーフくらいの薄くカットして食べる場合は筋は噛み切れますが気になる方はミスジのローストビーフは選択肢から外すべきかもしれません。
『すき焼き』
すき焼きとして調理する際にもミスジは重宝する部位となります。適度な霜降りは生卵と絡めた時の美味しさを際立たせます。スーパーではカタうす切りとして提供されていることが多くミスジと記載している商品はあまり見かけることがないため店員に聞いてみて入手できればすき焼きとして食べることもおすすめできます。
『しゃぶしゃぶ』
スーパーでは比較的多く見受けられます。霜降りが多いためあっさりとした醤油タレやポン酢などで食べるのがおすすめと言えそうです。
『肉寿司』
最近流行っているちょっとだけ火で炙ってシャリの上に乗せて食べる肉寿司にもミスジはオススメです。薄くカットしているため火が通りやすく見た目は生に近いですが安全に食べることができオススメの食べ方の一つと言えるでしょう。ミスジは霜降りも多いので見栄えも良いです。
『タリアータ』
タリアータとはイタリア語で「薄く切った」という意味です。焼いた肉を薄く切りお好みの調味料と合わせて食べます、ローストビーフよりも小さく一口サイズにカットして野菜やパルミジャーノチーズなどと合わせてサラダ感覚であっさり食べことができます。肉の旨みを感じることができるミスジなので小さくカットしても美味しく味わうことができます。
牛肉の部位「ミスジ」についてのまとめ
ミスジは調理用途は万能で様々な料理に使用可能です、赤身肉の一部でありながらも綺麗な霜降りが入っており肉の旨みと赤身肉が持つ濃厚な風味を同時に楽しむことができる優れた部位です。
一般的にはステーキ、焼肉でおすすめされているのをよく見かけます。それに加え、近年の調理の多様化により肉寿司やタリアータ、ローストビーフなど幅広い料理に使用でき、価格も超高価格ではないため入手もしやすいのではないでしょうか。
ミスジは真ん中に特徴的なスジがある特徴的なお肉ですので、通販やスーパーなどで見かけたらぜひ1度購入してみてはいかがでしょうか?