「テール」と聞くと、お店で食べるイメージを持たれる人が多いのではないでしょうか。
スーパーなどで目にする機会が少なく、希少価値の高い部位といえます。
しかし、テールには味わい深い旨味や女性に嬉しい栄養素が豊富に含まれている食材でもあります。特に、牛テールは豚や鶏のテールと比べて日本でも手に入りやすく、食べやすいため、おすすめです。
本記事では、牛テールの特徴や美味しい食べ方、家庭での調理方法などについて詳しく紹介いたします。
牛テールの部位と特徴
テールとは、牛のしっぽの部分を指します。
牛の大きさによっても異なりますが、1頭の牛から獲れるテールの長さは50〜60センチ、重さにして1.5〜2キロほどだと言われています。
しっぽの真ん中には骨が通っており、薄くスライスするにはノコギリなどの専用の機械が必要です。
しかし、関節ごとに着る場合は、比較的簡単に切り分けることができるでしょう。
また、牛テールはコラーゲンが豊富で濃厚な味わいが特徴です。
肉の部位の中でも非常に固い部分でもあり、煮込み料理やスープなどで柔らかく煮込んでから食べるのが一般的です。
長時間煮込むことで、旨味が増し、トロトロとした食感を楽しむことができます。
テールについて
日本でのテール肉といえば、「牛テール」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、テール肉は豚や鳥にも存在します。
豚や鶏のテールについて詳しくみていきましょう。
豚や鶏のテール
豚のテール
豚のテールも牛と同じ、しっぽの部分を指します。
「豚尾(とんび)」と呼ばれることが多く、くるんと丸まった尻尾が特徴です。
豚テールの長さは、大きい豚で10センチ前後、小さい豚で7センチ前後が一般的とされています。
日本では、牛テールに比べてあまり市場に出回っておらず、知名度の低い部分です。
豚テールは、中国や東南アジア、欧米などを中心に食べられており、牛テールのように長時間煮込んで食べるのが主流です。
歯ごたえのある食感が特徴的で、ゼラチン質の深い旨味を味わうことができます。
鶏のテール
鶏にも、豚や牛のようにしっぽがあります。
しかし、鳥の場合はテールではなく「ぼんじり」と呼ばれる部位を指します。
焼肉屋さんや焼き鳥屋さんなどで目にすることが多く、豚や牛のテールと比べると馴染み深いお肉かもしれません。
鶏のしっぽの根元についているお肉のことを指し、少し歯ごたえがあって脂が乗っている部位でもあります。
牛テールのカロリーや栄養素
ここでは深い味わいが特徴的な牛テールの栄養素についてみていきましょう。
- 牛テールの3大栄養素を100グラムで換算した場合
・タンパク質・・・11.6グラム
・脂質・・・47.1グラム
・炭水化物・・・0グラム
牛テールは、脂質が多いのが特徴です。
また、テールには女性に嬉しい成分が豊富に含まれています。
・コラーゲン・・・肌の乾燥を防ぐ
・エラスチン・・・コラーゲンを繋ぎ合わせ、肌のハリや弾力を保つ
・ビタミンB1・・・細胞の新陳代謝を促進させる
・ビタミンB12・・・質の良い血液を作る
・亜鉛・・・肌や粘膜を健康的に保つ
・カリウム・・・疲労回復や利尿作用、高血圧の予防
牛テールには、美肌成分の他にも健康維持に欠かせないさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
また、生姜やにんにくなどとの相性も良く、スープにすることで疲労回復などの効果がさらに期待できるでしょう。
牛テールのおいしい食べ方
牛テールは、濃厚な味わいと旨味成分が豊富です。
他の部位と比べると固く、歯ごたえのある食感ですが、長時間煮込むことで柔らかくなり食べやすくなります。
また、煮込むだけではなく、焼肉やステーキなどで焼いて食べても非常に美味しい部位です。
スーパーなどで目にする機会は少ないですが、牛テール肉はお肉屋さんや卸売市場、ネットショッピングなどで購入できます。
下ごしらえ
牛テールは、一般的に血抜きをされていない状態で販売されています。
そのまま調理してしまうと、臭みがでてしまい、十分な旨味を引き出すことができません。
牛テールを調理する場合は、何度か水を変えながら水に浸けて血抜きを行います。
その後、鍋に牛テールと水を入れて再び加熱します。脂が多い場合は2回行うと良いでしょう。
茹で上がった牛テールは、ザルにあげて水を切り、流水でよく洗います。
洗う際は、血や汚れを十分に落とすと、臭みがなく美味しく食べられます。
煮込み方
牛テールの下ごしらえが完了したら、お湯を張った鍋に牛テールを入れます。
この時、ネギの青い部分を一緒に煮込むことによって、牛テールの臭みがなくなるためおすすめです。
牛テールの煮込み時間は、圧力鍋で約1時間、それ以外の鍋では2〜3時間ほどが目安とされています。
また、牛テールは脂質が多いため、煮込んでいるうちに脂が浮いてきます。
一度火を止めて、冷蔵庫で冷やすと脂が固まるため、取り除きやすくなるでしょう。
焼き方
牛テールは煮込み料理が有名ですが、濃厚な味わいとコクがを味わうには焼いて食べるのがおすすめです。
焼肉で牛テールを食べる場合は、火が通りにくいため、薄くスライスする必要があります。
この場合、牛テールは骨が硬いため、薄く切るためには専用のノコギリが必要です。
そのままステーキで食べる場合は、下ごしらえの後にさらに鍋で煮込んでから塩胡椒などで味付けして焼くのが良いでしょう。
食べ方
牛テールは、濃厚で旨味成分が豊富なのでスープで食べる場合は野菜と一緒に食べるのがおすすめです。
一般的に、牛テールは関節ごとにブロックで売られていることが多く、通常の包丁では切ることができません。牛テールを家庭で食べる際は、カレーや煮込み料理などでも美味しく食べることができるでしょう。
牛テール肉を使った美味しいレシピ
テール料理は家庭で食べる機会が少なく、レシピや味付けの方法に困る人もいるでしょう。
そこで自宅でもテールの濃厚な味わいを楽しめるよう、3つのレシピを紹介します。
牛テールスープ
<材料>(約4人前)
・牛テール 600グラム
・ネギ(青い部分) 1本分
・生姜(薄切り) 3〜4枚
・水 適量
・酒 50cc
・細ネギ(きざみ) 適量
・塩 適量
<作り方>
1 鍋に牛テールと水を入れて中火で加熱します。
2 煮立ったら5分ほど茹で、お湯を切り、流水でよく流します。流水で洗う際、牛テールをぎゅっと押して骨と肉の間の血管から血をしぼり取ることで臭みが消えます。
3 鍋に牛テール、酒、生姜、ネギを入れ、牛テールが全て浸るくらいの水を入れます。
強めの中火で加熱し、アクを取り、2時間ほど煮込みましょう。
4 器に盛り、お好みで塩やネギなどの薬味を入れて完成です。
参考:じっくり煮込んだ!テールスープのレシピ動画・作り方 DELISH KICHEN
牛テールの塩焼き
<材料>(約2人前)
・牛テール 1キロ
・生姜(皮ごと) 2片
・ネギ(青い部分) 2本
・ローリエ 2〜3枚
・水 600cc
・酒 600cc
・塩 大さじ1
・胡椒 適量
<作り方>
1 鍋に生姜1片、ネギ、牛テールを入れ、お肉が浸るくらいの水を入れて沸騰させます。
2 沸騰したら、火を弱くし、アクがなくなるまで取り続けます。弱目の中火で1時間ほど茹でます。
3 茹で上がった牛テールを1時間ほど放置し、流水でよく流し、余計な油分や汚れを取り除きましょう。
4 鍋に残りの生姜1片とテール、水、酒、ローリエを入れて沸騰させます。
沸騰したら火を弱めて蓋をして2時間ほど茹でます。
この時、煮込んでいるうちに水分が蒸発してしまうため、水を足しながら茹でましょう。
5 牛テールが十分に柔らかくなったことを確認し、塩を入れ、かき回して火を止めて冷まします。
6 牛テールを取り出して、全面に胡椒を振りかけます。グリルやフライパンなどで焼き色をつけたら完成です。
牛テールカレー
<材料>(約4人前)
・牛テール 750グラム
・にんじん 2本
・玉ねぎ 2個
・じゃがいも 2個
・カレールー 1箱
・にんにく(すりおろす) 1片
・生姜(すりおろす) 1片
<作り方>
1 鍋に薄く油をひき、下ごしらえを終えた牛テールの両面に軽く焼き色をつけます。
2 鍋に牛テールが全て被るくらいの水を入れ、アクを取り除きながら中火にかけます。
3 鍋に蓋をして、1時間ほど煮込み、火を止めて冷ましてから牛テールを皿に取り出します。
牛テールを取り出した鍋に浮いた脂を綺麗に取り除きましょう。
4 野菜を食べやすい大きさに切り、皿に移したテールの骨から身を取り除きます。
そのまま入れても良いですが、良く煮込んだ牛テールは身がほろほろと取れやすくなっているため、取り除くのがおすすめです。
5 鍋に肉を戻し、玉ねぎ、じゃがいも、にんじん、にんにく、生姜を加え、再び火にかけます。この時、鍋の水が減っている場合は継ぎ足しましょう。再びアクが出てくるので、取り除きながら弱火で茹でます。
6 野菜が好みの柔らかさになったら火を止め、カレールーを加えます。ルーが溶けたら再び火にかけ、焦がさないように混ぜましょう。
7 お好みでハチミツやケチャップなどを入れて、お皿に盛り付けたら完成です。
まとめ
今回は、牛テールの特徴や美味しい食べ方、レシピなどについて詳しくご紹介しました。
焼肉屋さんや韓国料理店などのお店で味わうイメージが高いテールですが、近所のお肉屋さんなどで手軽に手に入ることもあります。
テール料理を家庭で作るにはハードルが高いように感じますが、テールの濃厚な味わいとコクは他のお肉では味わえないほど魅力的です。
また、コラーゲンなどの美容成分も豊富で、女性には嬉しい食材と言えるでしょう。
ネットショッピングで1キロ2000円ほどで手に入ることもあるため、ご家庭でテール料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。