「ミスジ」という言葉を焼肉屋でよく耳にしませんか?
しかし、ミスジがどのようなお肉であるのか知らない方も多いはずです。
ミスジは、牛1頭からわずか3キログラムしか取れないため「幻のお肉」と呼ばれています。
今回は、ミスジの部位や特徴、おすすめの焼き方やおすすめの調理法を紹介します。
牛肉のウデとは、牛の肩甲骨付近にある肉のことを指します。本記事ではそんな牛肉のウデがどのような肉なのかやおすすめレシピを…
焼肉のミスジについて
幻のお肉と言われるミスジ。
まずは、ミスジの部位や特徴、由来を解説します。
焼肉のミスジの部位と特徴
焼肉のミスジは、牛の肩甲骨から手首までの内側にあるお肉を差します。
ちょうど肩甲骨の内側の部位です。
隣りにある「トウガラシ」や「肩三角」といった希少部位を総称して、「杓子(しゃくし)」と呼ばれます。
一般的に、お肉はよく動かす部位ほど硬くなり、あまり動かさない部位ほど柔らかいと言われています。
肩から腕は動かすことが多い部分ですが、ミスジは、腕の中でも動かさない部位であるため柔らかい肉質が特徴です。
また、ウデ肉の中では最も霜降りが入っています。
ミスジは、牛1頭から約2〜3キログラムしか取れない希少部位です。
雄牛の体重は約1,100キログラムと言われています。
どれだけ貴重であるかがわかります。
ミスジは、食肉の脂肪が溶け始める温度である融点が低く、口の中でとろけるような食感。
歯切れが良く細やかなサシが乗り、赤身と脂身のバランスも抜群なため、独特な味わいを楽しめます。
ミスジの由来
ミスジは、肉の真ん中と上下に3本のすじ(三筋)が入っていることが由来です。
真ん中のすじより上側、下側の部分より霜降りも味も優れていることから「本三筋」と呼ばれることもあります。
真ん中に1本のすじが入っているため、断面でも見分けがつきやすいお肉です。
関西では、形状から連想して「ハゴイタ」とも言います。
一般的に、真ん中以外の上下のすじは、はじめに取り除かれています。
そのため、スーパーなどで提供される際には、上下のすじが取り除かれていることがほとんどです。
ミスジの選び方
美味しいミスジの選び方は、色合いとすじの入り方です。
極端に赤色と白色がわかれているものより、グラデーションになっているものが美味しいと言われています。
また、断面の中心にある一本筋から左右に細かい霜降りが入っているものがおすすめ。
葉脈のようにきれいな霜降りが理想です。
真ん中のすじが分厚いと食感に影響するため、すじが薄くて程よくサシが入っているものを選びましょう。
国産と外国産ミスジの違い
同じ部位のミスジであっても国産と外国産でも、お肉の色と味わいに違いがあります。
外国産のミスジには赤身の割合が多く、お肉自体は赤色が多めです。
一方、国産のミスジは、サシと赤身が同等のバランスになっておりピンク色に近くなります。
赤身が多い外国産のミスジは、肉質も若干固くなるため、煮込み料理に最適です。
国産のミスジは適度にサシが入っており、ステーキや焼肉などに向いています。
また、国産と外国産のミスジでは、価格や価値も大きく異なります。
国産牛や和牛のミスジは、アメリカ産と比べると約4〜8倍以上の価格で販売されています。
焼肉店でも国産のミスジは、特上クラスであり高価格です。
比べて、アメリカ産のミスジは、アメリカンビーフの中でそこまで価値が高いものではありません。
アメリカでの牛肉消費量はステーキが圧倒的に多く、最も価値が高くなります。
リブロースやランプ、サーロインなどの部位が人気です。
そのため、アメリカ産のミスジは比較的安価で購入できます。
調理方法にあわせて、国産と外国産のミスジを使い分けましょう。
ミスジとカルビの違い
ミスジとカルビの違いは、あっさりさと食感です。
ミスジは、カルビに比べて脂くどさがありません。
また、ミスジの内部にはきれいなサシが入っている状態のため、非常に柔らかいお肉です。
あっさりとして食べやすく風味も良くなります。
-
ミスジとロースの違い
ミスジとロースの違いは、見た目と味です。
ミスジはピンク色で、ロースは赤色をしているところが特徴です。
ロースは、マグロの赤身のような鉄分っぽい香りや牛肉そのものの味わいを持ちます。
それに比べて、ミスジはカルビのような脂の甘みを楽しめます。
ミスジの美味しい焼肉の仕方
ミスジ本来の旨味を引き出し、最も美味しく食べる方法は焼肉です。
次は、ミスジの美味しい焼肉の仕方を紹介します。
ミスジの焼肉の仕方
ミスジの美味しい焼き方(レア)です。
- 片面を中火から強火で20秒ほど火を通し、焼き色をつける。
- もう片面も20秒程度に軽く焼く。
解説動画
ミスジは常温に戻してから焼く
お肉の中が冷えた状態では均一に火が通りにくいため、調理する30分〜1時間は常温に置きます。
常温に戻してから焼くことで、ジューシーに仕上がりますよ。
冷凍のお肉は、急激に温度が変化すると旨味が逃げてしまいます。
事前に、冷蔵庫で自然解凍してから常温に戻しましょう。
解凍には約7〜8時間かかるため、前日に冷凍庫から移しておくとスムーズに調理できます。
ミスジは焼きすぎに注意
ミスジは内部の水分量が少ない部位であり、火を通しすぎると脂が落ちてパサついてしまいます。
美味しさを損なわないためにも、焼きすぎには気をつけましょう。
ミスジを使った絶品肉レシピ
次は、ミスジを使用した絶品肉レシピを6つ紹介します。
- ステーキ丼
- 煮物
- ローストビーフ
- ビーフシチュー
- 韓国風炒め
- 味噌漬けのステーキ
以上の6つがミスジを活かしたおすすめの料理です。
ぜひ、美味しい調理方法を試してみてください。
1.スタミナ満点!にんにくが効いたステーキ丼
1つ目の絶品レシピは、ステーキ丼です。
まず、ミスジの焼き方を説明します。
- ミスジの両面に塩こしょうをふる。
- フライパンにサラダ油を熱し、ミスジを弱火で1分焼く。
- 裏返して40秒焼く。
- アルミホイルに包み、5分置く。
- お好みのサイズに切る。
次に、にんにく醤油だれの作り方です。
- にんにくをすりおろす。
- ミスジを焼いたフライパンに、にんにく・醤油・酒を入れる。
- ふつふつするまで中火で熱し、砂糖を加えて混ぜる。
お皿にご飯を盛り、千切りしたキャベツとにんにく醤油だれをかけて完成です。
にんにくが効いて食欲も増し、食べごたえも満点です。
2.口の中でとろける!簡単に作れるミスジの煮物
2つ目の絶品レシピは、煮物です。
ミスジの固まりを使用する場合は、煮物がおすすめ。
- ミスジを一口サイズに切る。
- フライパンで焼き目を付け、鍋に入れる。
- 日本酒、醤油、みりん、砂糖を加え、1時間以上煮込む。
- ミスジが柔らかくなったら塩こしょうで味を整えたら完成。
ミスジは煮込むことで、すじも柔らかくなり食べやすくなります。
大きな鍋で作れば、一度にたくさんの量を作れますよ。
3.ボリュームたっぷり!素材の味を楽しむローストビーフ
3つ目の絶品レシピは、ローストビーフです。
ローストビーフは、肉の旨味を十分に感じられます。
- ミスジのかたまり肉の全面に焼き目を付ける。
- 加熱調理可能なビニール袋に入れる。
- 鍋にお湯を沸かし、ミスジを入れる。
- 約2分加熱したら火を止める。
- 蓋をして3時間ほど放置する。
- 好みの薄さにカットしたら完成。
ミスジにレアな部分が残るため、牛肉本来の風味が楽しめます。
4.初心者でも簡単!子どもから大人まで嬉しいビーフシチュー
4つ目の絶品レシピは、ビーフシチューです。
ビーフシチューは、ミスジ初心者におすすめです。
- ミスジ、人参、玉ねぎを一口サイズに切る。
- フライパンで焼き目を付ける。
- 大型の鍋に、食材を入れる。
- 水を加えて2〜3時間煮込む。
- ビーフシチューのルーを入れたら完成。
ミスジを柔らかく煮込み、ルーを入れるだけで簡単にできあがります。
5.ご飯が進むメイン料理に!ミスジの韓国風炒め
5つ目の絶品レシピは、韓国風炒めです。
韓国風炒めは、少し濃いめの味付けでご飯との相性も抜群です。
- 生姜をすりおろす。
- 生姜、水、砂糖、醤油、コチュジャンを混ぜておく。
- ミスジを1cmの厚さに切る。長いものは半分にし、砂糖と塩をもみ込み10分置く。
- ミスジ全体に軽く薄力粉をまぶす。
- じゃがいもの皮を剥いて8等分にする。
- 耐熱ボウルに入れてラップをし、電子レンジ(600w)で3分加熱する。
- 粗熱が取れるまでそのまま置く。
- フライパンに中火で油を熱し、ミスジを広げて入れる。
- 焼き色が付いたら裏返し、じゃがいもを加えて炒める。
- ミスジ全体に焼き色が付いたら、2で混ぜておいたたれを加えて炒めれば完成。
じゃがいも以外の野菜を使用する、コチュジャンの量を変えるなど、さまざまなアレンジを楽しめる絶品レシピです。
6.和風で楽しむ!味噌漬けのミスジステーキ
6つ目の絶品レシピは、味噌漬けのステーキです。
味噌で味付けすることで、和風なステーキを味わえます。
- 味噌、みりん、はちみつを混ぜミスジに漬けて、味が染み込むまで置く。
- フライパンに油を熱し、中火で2分焼く。
- 裏返してさらに3〜4分焼き、そのまま3分置く。
- 食べやすいサイズに切る。
- 最後にお好みで一味唐辛子を振りかけて完成。
まとめ
今回は、焼肉のミスジの部位や特徴、ミスジを活かした絶品レシピを紹介しました。
ミスジは牛一頭から約2.3キログラムしか取れない希少部位です。
また、焼肉やステーキ以外にも、ミスジを活かした絶品料理があります。
少し贅沢をしたい場合に、ミスジを使用してさまざまな楽しみ方ができます。