焼肉屋さんでセンマイを注文される方々も多くいらっしゃることでしょう。センマイとは牛の第三胃のことです。ヒダが1000枚もあるだろうということからこのような名前がつけられています。 また、センマイには「白センマイ」と「黒センマイ」があります。
今回はセンマイについてと、センマイのおいしい調理法をお伝えしていきます。
焼肉のセンマイについて
牛の第三胃
センマイとは牛の第三胃のことです。 牛は一度飲み込んだ食べ物を再度口の中に戻して咀嚼をします。 そのため牛は胃が四つあると言われています。第三胃がセンマイとなりますが、他に第一胃がミノ、第二胃がハチノス、第四胃がギアラです。 どれも聞いたことがある名前ではないでしょうか。
牛の胃は4つある
牛の胃は4つもあると言えば驚かれる方々も多くいらっしゃることでしょう。そのひとつの胃がセンマイです。そもそも牛だけでなく羊であったりヤギは反すう動物と呼ばれています。食物繊維の消化を助けるために、胃の中にあるものを再び口に戻してゆっくりかみ砕き、また飲み込む反すうを行っています。胃や腸内にいる微生物を増やすことで飼料の繊維成分を容易に消化することができるようになります。また、牛の場合は胃の重さが体重の15%を占めるとも言われています。
第1胃と言われているものが、ルーメンです。一般的にはミノと言われています。4つある胃の中で、一番大きく胃の80%を占めています。食道と直接つながっている第1胃の中には多くの微生物が共生していて、その微生物の作用により飼料の繊維を栄養として吸収できる形に分解する役目を持っています。
第2胃は、蜂巣(ハチノス)です。蜂巣という呼び方がされるほどひだが特徴的です。 ここではポンプのような収縮を繰り返して、ルーメンにおいて消化しにくい食物を食道や口まで押し戻す役割があります。口まで押し戻された食物はゆっくりとかみ直されて、第3胃へと移行します。
第3胃は、葉状(ようじょう)胃という言い方をします。これがセンマイです。ひだが食物を選別しながらすりつぶし、消化しやすくなったものを第4胃へと送り出していきます。そして、まだ大きいものは再び蜂巣へと戻されていきます。更に、センマイは水分や栄養を吸収する働きを担っています。
第4胃は、しわ胃と言います。よく聞くギアラという名前はこのことを言います。しわ胃は、一般的人間と一番機能が似ている部分です。胃液を分泌することによって最後に食物を消化する役目を担っています。成牛のしわ胃の体積は胃全体の10%以下程度ですが、母乳を飲む子牛は胃全体の70%を占めています。
名の由来
センマイの名前の由来は、ヒダが1000枚もあるだろうということからつけられています。朝鮮語では「チョニョブ(千葉)」という言い方をしています。チョニョブを日本語に訳しても、千枚という意味合いです。英語では「Omasum」という言い方をしています。
センマイの特徴
センマイの特徴は、見た目は黒っぽい感じで、やはりヒダを多く持つことです。更に食べるとザラッとして舌ざわりがあり、コリコリとした食感があります。また、あっさりとした味わいをしています。
センマイはなぜ黒い?
センマイはもともと黒いです。ではセンマイはなぜ黒いのでしょうか。他のホルモンは、これ程黒くはありませんので不思議に思っている方々もいらっしゃることでしょう。センマイが黒いのは、センマイに鉄分が多く含まれているせいです。
食感
センマイは、見た目生々しい感じでちょっと抵抗ありという方々もいらっしゃるのかもしれません。しかし、食べると意外に脂少なめでさっぱりとしていてとてもおいしいです。コリコリとした歯ごたえや食感に惹かれる方々もいらっしゃることでしょう。
第4の胃ギアラは、表面が滑らかくて薄く、やわらかいのが特徴です。全体的に脂肪が多く含まれていて味は濃厚です。
同じ胃の部位であるのにこのような大きな違いがあります。
焼肉のセンマイの種類
センマイの種類には白センマイと黒センマイがあります。
黒センマイ
センマイには黒っぽい灰色のような皮がついています。この皮がついたままのセンマイのことを黒センマイと言います。黒センマイは白センマイと比較して多少クセはありますが、皮を剥いていない分旨味があります。食感は皮がついていることもあって幾分ごわついた感じです。
白センマイ
センマイには白センマイと言われるものがあります。それは黒センマイを処理し皮を剥いだものです。白センマイは皮を剥いてしまうので臭みや雑味がありません。
ご自身で調理される場合には黒センマイを水で洗います。1枚1枚切り分けて大きめの鍋に小匙1の塩を入れて3分程度茹でます。茹でた後は流水で冷ましてください。 冷めたら、金たわし、スプーンの腹を使って全体を白くしていきます。
センマイは黒千枚のままでももちろん食べることは出来ますが、白センマイは皮がない分口に残らず、コリコリと食感を楽しむことができます。
栄養
センマイにはどの程度の栄養があるのでしょうか。こちらの方も確認しておきましょう。
センマイと、シマチョウ(大腸)ハラミ(横隔膜)100gあたりのカロリーの比較です。シマチョウ(大腸)(生)は150kcalです。ハラミ(横隔膜)(生)は288kcalです。そして、センマイ(第三胃)(生)は約57kcalです。センマイはかなりカロリーが低めの食べ物であることがわかります。
また、センマイ(生)の100gあたりのたんぱく質は11.7gです。100gあたりの脂質は1.3gです。脂質は、他の胃の部位と比較して少なめです。
ただし、センマイ(生)の鉄分は6.8mgとなり、多めです。またセンマイには亜鉛が含まれています。亜鉛は免疫力を高めてくれる栄養素です。また、亜鉛は身体の細胞分裂に必要となるものです。お肌であったり髪の毛、爪を生き生きとさせてくれます。不足してしまうことでカサカサ肌になってしまったり、パサパサ髪、爪割れなどの原因にもなります。女性の方々は特に亜鉛を意識して摂取されるといいでしょう。また、亜鉛は傷ついた細胞の修復にも必要な栄養成分です。
さらにセンマイには、ビタミン12が含まれています。造血のビタミンとも言われるビタミンB12は、葉酸と協力しあって赤血球を作り出します。よってビタミンB12が不足がちになれば、赤血球が作られないで貧血ぎみになってしまうかもしれません。センマイはビタミンB12が豊富に含まれています。貧血で悩む人は、意識して食べるといいでしょう。
また、センマイにはビタミンB2が含まれています。ビタミンB2は、脂質代謝を進めてくれます。また、皮膚、粘膜、髪、爪などの細胞の再生に貢献し、 発育のビタミンとも言われることがあります。
センマイの食べ方
下処理の仕方
生のセンマイを使用する場合には、下処理が必要です。センマイは、流水でまずは丁寧に洗い流してください。 ヒダが多くあるため、スキマには汚れであったり脂が溜まってしまうため、しっかりと塩をふりかけるなどしてもみ洗いをしてください。そして食べやすいような大きさにカットして、熱湯にしょうがとお酒、センマイを入れて5分ほど茹でます。あとは水気を切ってください。
センマイ刺し
センマイの定番と言えばやはりセンマイ刺しではないでしょうか。センマイ刺しという言い方をしていますが、生では基本食べず、茹でたものを使用します。薄皮を剥がさないでそのまま黒センマイのまま食べる方法と、薄皮を剥がす方法があります。お好みのものを選ぶといいでしょう。味付けは、ポン酢や辛子酢味噌、コチュジャンを使った辛味ダレなどです。
焼肉
センマイの食べ方の定番は、焼肉です。焼肉でセンマイを使う場合は、表面の薄皮をはがさない黒センマイが一般的に使用されています。塩ダレや醤油ダレにつけて食してください。
センマイのレシピ
センマイにはどのようなレシピがあるのか紹介します。
センマイの酢みそがけ
センマイの酢みそがけは、薄皮を剥がさないで黒センマイのまま使います。酢みそプラスコチュジャンで、ピリッとした感じになりセンマイとよくマッチします。コリコリとした食感がクセになり、ビールとの相性もバッチリです。
お鍋に湯を沸かし、しょうが、酒、センマイを入れて1〜2分ゆでる。水気を切りましょう。生のセンマイの場合は、流水でセンマイをよくもみ洗いし、同じ手順で5分ほど茹でます。長ねぎをみじん切りにします。
砂糖、酢、みそ、コチュジャン、ごま油を混ぜ合わせ、みそだれを作ります。出来上がったら器にセンマイを盛り、長ネギをのせて、みそだれを添えます。
センマイのピリ辛胡麻だれがけ
センマイをよく洗って塩でもみ、お湯でサッと湯通しをします。
ゴマだれペースト、しょうゆ、味の素、お湯、ごま油、食べるラー油をよく混ぜ合わせてください。
次は香菜をざくぎりにします。
器にセンマイを盛って、出来上がったたれをかけ、香菜をちらして完成です。食べる前に混ぜてください。
センマイとニラのポン酢あえ
沸騰したお湯に塩を加え、センマイとニラをゆがきます。センマイは1~2分程度、ニラは30秒から1分程度を目安としてください。ざるにあげて、湯切りします。5分くらい置いているだけでOKです。
器にセンマイとニラを盛り付けて、しょうがと胡麻油、ポン酢を混ぜ合わせて完成です。しょうがは多めに入れた方がおいしくておすすめです。しょうがの代わりに胡椒でもおいしく食べることができます。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、センマイについて解説をしました。センマイをよく食べているけど、どの部位なのかわからなかったという方々もいらっしゃることでしょう。
牛の胃は4つあります。そのひとつの胃がセンマイです。見た目は黒っぽく、ヒダを多く持っています。
見た目はちょっとグロテスクに見えますが、意外や味はシンプルで、美味しいです。そしてセンマイは栄養価が高いホルモンとして知られています。
下処理が必要な部位ですが、しっかりすれば安心して食べる事ができます。
センマイの食べ方の定番と言えば、センマイ刺し、焼肉です。
今回は、それ以外に「センマイの酢みそがけ」「センマイのピリ辛胡麻だれがけ」「センマイとニラのポン酢あえ」のレシピも紹介しました。
どれも難しいレシピではありませんので一度試してみるといいでしょう。