ギアラはどこの部位の肉のこと?おすすめの食べ方・調理法も紹介

お肉のギアラといえばホルモン好きにはおなじみの人気部位。

どう調理しても美味しくいただけますが、より味わいを堪能したいですよね。

そこで、今回は次の3つを解説します。

  • 肉のギアラについて
  • 肉のギアラのおいしい食べ方
  • 肉のギアラを使った絶品肉レシピ

ギアラは、程よい脂肪で脂の乗りが良く、味も濃厚です。ホルモンというよりは「肉に近い食感」でしっかりとした噛み応えと濃厚な味わいが特徴。美味しく調理して、ムチムチした食感を堪能してください。

肉のギアラについて

ギアラは、焼肉が人気ですが、もつ鍋や煮込み料理の材料としてもおすすめです。お酒やおつまみにも合うので、家族で美味しく楽しくいただけます。

「ギアラ」の命名には諸説があります。

  1. 第二次世界大戦終了後のこと。連合国軍の基地で働いていた日本人が、ギャランティー(報酬)として内臓肉を持ち帰ったことからついたとの説。
  2. 「偽腹(ぎはら)という言葉の訛り」の説。

「ギアラ」の呼び名以外にもいくつかあり、関西圏では、赤みがかった色合いのため「赤センマイ」「赤セン」という別名があります。「センマイ」と勘違いしてしまいがちですが、「センマイ」とは異なる部位です。

英名を “abomasum” ということから「あぼみ」と呼ばれることもあります。

名前の由来がユニークなギアラ。ここでは、「ギアラの部位」「ギアラの特徴」「他の胃袋との違い」について解説します。

肉のギアラの部位

ギアラは、牛の内臓の部位。内壁の表面に大きなヒダがあるのが特徴です。「第四胃袋」と呼ばれ、ギアラは、「ギアラ芯」「赤センマイ」の2種類にわかれます。なかでも、ギアラ芯は胃上部に位置し、肉厚で脂が多くプリプリです。

小腸に一番近い第四胃袋をギアラと呼びますが、生物学的に胃にあたるのはこのギアラだけ。残りの3つは食道が進化したものです。

  • 第一胃袋:ミノ
  • 第二胃袋:ハチノス
  • 第三胃袋:センマイ

これら3つが、反すう動物特有の発酵分解を担う胃です。しかし、ギアラだけが消化液を分泌する本来の胃。赤みがかった胃壁が特徴で、ミノやハチノスのように独特の臭みがありません。ギアラを含めた4つの胃はすべて、ホルモンとして食べられる部位です。

相当昔の話ですが、ギアラ以外の胃袋はエサの兼ね合いで、もともとは胃ではなく腸でした。牛が食べるエサが変化するにつれて消化できなくなり、エサの進化に合わせて腸から胃袋に変化したのです。

そんな歴史がありますが、4つの胃の中で最も濃厚な味が楽しめるのがギアラ。

脂がのっており、ツヤがあってなめらかな見た目でホルモンの中でも肉に近い食べごたえが人気です。

ギアラは、他の部位とは違い柔らかく、ホルモンのイメージである「コリコリとした食感」はあまりありません。ですが、濃厚な旨味が口に広がり、味わいを堪能できます。

ちなみにギアラを含むホルモンは、一般的には腸や胃袋の「内臓のイメージ」が強いです。ですが、精肉として扱われない部位のすべてがホルモン。軟骨やハラミもホルモンに分類されます。

肉のギアラの特徴

ジューシーな味わいが魅力のギアラ。ご飯のおかずとしてもピッタリです。ミノ、ハチノス、センマイは消化器系独特の臭みがありますが、ギアラにはそのような臭みはありません。脂がほどよくのって甘く、濃厚な味わいと歯ごたえのある食感が特徴です。

ギアラは、脂肪を含むことからカロリーは高め。ゆでたギアラで100グラムあたり約330キロカロリー。ほかの3つの胃は200キロカロリー以下とかなり違いがあります。

260キロ〜300キロほどある牛の可食部のうち、ギアラの量は平均1,000グラム程度。食べられる内臓は45キロ前後とされますので、いかに貴重な部位か分かります。上質な脂身がたっぷりあり、噛むほどに肉汁があふれ濃厚な味わいです。

ギアラは、脂分が多く肉厚でホルモン類の中では白飯との相性は抜群です。噛みごたえの良さと良い脂ののり具合、脂の甘みも感じられるので、濃厚なホルモンを楽しみたい時には最適。噛めば噛むほど味が出てくるあの感覚は、ホルモン好きにはたまりません。ホルモン本来の旨味を損なわないよう、部位によってはあえて若干の臭みを残すと美味しくいただきます。

他の胃袋との違い

ミノ、ハチノス、センマイは、ギアラと違い消化器系独特の臭みがあるのが特徴です。

第一胃袋のミノは、白くてコリコリと弾力のある食感が人気。焼肉屋でもミノは定番のホルモンなので、好きな人は多いのではないでしょうか。ギアラは、脂分が多いのが特徴ですが、ミノはギアラほど脂分がなく淡泊な味わいを楽しめます。薄ピンク色で厚みがあり、弾力性のある食感が特徴です。

「焼肉」以外では、「もつ鍋」に向いており、しっかりした味付けの「炒め物」でも美味しくいただけます。

第二胃袋のハチノスは、下処理して長時間ゆでる煮込み料理に最適。名前の通り、ハチノスのような見た目からこの名が命名されました。

1頭の牛から少量しかとれないため、貴重な部位です。ハチノスにはもともと黒い皮がついており、その皮を取り除き調理します。濃厚な味わいのギアラに対して、味があっさりしているので、ミノと同じくしっかりした味付けでいただくのがおすすめです。「焼肉」をはじめ、「炒め物」「煮物」にも向いています。

第三胃袋のセンマイは、ゆでて丁寧に下処理したあと、皮をはぐときれいな白色になります。センマイは、胃壁が何層にも重なり合っていることから「千枚」という意味があります。表面はグレーで細かい突起がいくつもあるのが特徴。この突起は、舌に乗せるとザラザラした感触があり、歯ごたえはコリコリしています。

脂分が少なくあっさりとした味わいが、濃厚なギアラとの違いです。クセはないので、「焼肉」「刺身」で食べられることが多く、「炒め物」に使われることもあります。

肉のギアラのおいしい食べ方

肉のギアラの下処理方法

ギアラには独特の臭いがありますが、下処理をしっかりすれば美味しく食べれます。食べやすい大きさに切ったら、お湯で臭みがなくなるまで、ゆでこぼします。

「ゆでこぼす」とは、アク、渋み、ぬめりなどを取り除くために材料をゆで、ゆで汁を捨てることです。

基本の洗い方は、「ホルモンの中心温度が50度の状態で2分間ゆでこぼす」です。リモコンの設定温度は、60度にするとよいでしょう。50度洗いする理由は、胃の消化酵素をとりたいからです。付着する消化酵素を50度洗いにより取り除くことで劣化や臭みを抑える効果があります。ギアラの中心まで50度になっていることを確認してください。

水洗いだけでは消化酵素が落ちきらないため、ヌメヌメが残るのです。だからこそ、約2分の50度洗いが必要で、水洗いと食べ比べしたら一目瞭然。50度洗いすると、日持ちも長くなり、口に入れたときの臭みはなくなります。

洗い方は、表面のヌメヌメを取り除く感じです。水の表面にアクが浮いてきたら消化酵素が落ちている証拠。しかし、温まったままではすぐに傷んでしまうので、洗ったあとはしっかり冷やしてから保存してください。冷たい水につけ、氷を入れると良いでしょう。

50度洗いの注意点は、50度を超える高温だとボイルされてしまう点です。ボイルとは、食材を熱湯で茹でて加熱すること。高温には注意してください。

ぬめりが残っていると臭みの原因です。しっかりと取り除きましょう。

肉のギアラの切り方

身の外側の白い皮は、火が通るとかなり硬い部位です。細かく包丁を入れると食べやすいので、繊維を断ち切るように刃を入れてください。短い間隔で包丁を入れないと、固くて食べにくくなるので注意です。多めに包丁を入れたほうが噛みやすくなり、美味しくいただけます。コブの部分は、分厚いのでかなりしっかりめに包丁を入れてください。

包丁を入れるポイントは、「細かく入れるより深く入れる」ほうが大切。深く入れることでより柔らかさがでるからです。分厚い部分は、包丁の刃元のあご部分で叩くように刃を入れると柔らかくなります。刃を入れたあとは、小さめにカットすると食べやすいです。

ビラビラ部分は、薄いので繊維を切るだけでOK。煮込みか炒め物にするときに臭みを感じるときは、塩や小麦粉を全体にもみ込んで何度か洗い流してください。臭みが気にならなくなります。

ギアラを使った絶品肉レシピ

「焼肉」「もつ鍋」「煮物」「炒め物」と、あらゆる料理ができるギアラ。なかでもおすすめの「焼肉」「もつ鍋」の絶品レシピを紹介します。

肉のギアラは焼肉で

調理する前にしっかり下処理を行うと臭みがなくなり美味しくいただけます。焼肉では、脂の面を上にして焼くのがポイント。ジューシー系のホルモンはいかに脂を落とさずに食べるかが重要ですが、ギアラは別です。しっかりと焼いて、脂を落として食べてください。

ある程度脂を落とすほうが美味しく食べれます。裏返すタイミングは、少し縮んで脂身が乳白色に変わったあと。焼きすぎるとゴムのような食感になるので、しっかりめに焼きつつ焼きすぎに注意してください。

余分な脂を落として、火が通ったら好みのタレで食べます。普通の焼肉ダレでも十分美味しいですが、脂が多いことから「味噌」「塩ダレ」「コチュジャンに唐辛子などを加えたピリ辛ダレ」もおすすめ。濃厚な旨味が口の中で広がります。

肉のギアラはもつ鍋で

家族や友人と大人数でできるもつ鍋。自宅で簡単に美味しく食べれるのでおすすめです。しっかり下ごしらえをしたギアラは、臭みも抜けて旨みがたっぷり。

鍋にギアラと水を入れ強火で沸騰させ、中火でアクを取りながら20分ゆでます。20分後、ギアラをざるに移し、水気を切り沸騰させた水は捨ててください。「キャベツ」「玉ねぎ」「ニラ」など野菜はお好みで食べやすい大きさにするとよいでしょう。

調味料は次のとおり(ギアラ400g当たり)

  • みりん:大さじ1.5
  • 塩:小さじ2/3
  • しょうゆ:大さじ3
  • 和風顆粒だし:小さじ1.5
  • 水:500シーシー
  • にんにく:3かけ

調味料、水、にんにく、玉ねぎを鍋に加えたら中火で加熱します。煮立ったら、キャベツとざるに移しておいたギアラを加え、アクを取りながら3分煮込んでください。そのあとは、ふたをして弱火で5分煮ます。ニラなどお好みの野菜を入れて、火が通れば完成です。

スープは旨味が詰まっているのでシメにラーメンを入れたり、雑炊にしたりすると最後まで美味しくいただけます。

まとめ

噛みしめると、甘い脂が口の中いっぱいに広がり、濃厚な味わいを楽しめると評判のギアラ。脂がのったプリプリの身で、上質な脂身が感じられます。噛むほどに肉汁があふれ、ホルモンのなかでもジューシーで旨味がたっぷりです。

味わいが口の中に広がり、噛みごたえがあるのが特徴。表面にツヤがあり、赤みがかっている見た目で肉とはまた違ったおいしさが魅力です。

ギアラを美味しく調理し、味わいを堪能してください。